モック氏が「1つの社会課題」から創造した「3つの事業」
モック氏は、自身が過去に手掛けたいくつかのプロジェクトを紹介した。まずは手洗器「Smixin」の開発だ。より少ない石鹸、より少ない水、そしてより少ない手洗い時間でありながら、より良い衛生状態を保つという、一見背反するアイデアを両立し、プロダクトとして実現した点に革新性がある。
このプロダクトは、モック氏がコロナ禍以前からパンデミックの到来を予測していたことからアイデアが始まった。「グローバル化が進展し人の移動が増えれば、いずれ深刻なパンデミックが起こる」ということは、かねてより指摘されていた。したがって、同氏は2002年の時点でこの問題に立ち向かう手段を模索していたという。パンデミックが訪れる前に、何ができるか。10年、20年単位でどんな準備ができそうかを自問自答し続け、「伝染病の伝播速度を抑える最も簡単な方法は、衛生レベルを上げることだ」という結論にたどり着いたと語る。