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トップランナーに聞くDX最前線

「DXグランプリ 2023」日本郵船のDX推進──MTI鈴木氏に聞く、IT・デジタルとルール作り

第5回 ゲスト:MTI 鈴木英樹氏(前編)

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 日本のトップランナーたちの話から、DXの未来を示す本連載。第5回のゲストは、「IT Japan Award 2019」「DXグランプリ2023」でともにグランプリを受賞した日本郵船を牽引してきた株式会社MTI 代表取締役社長の鈴木英樹氏。前編では、140年続く日本郵船に根付く挑戦の文化と、2004年に鈴木氏も立ち上げに関与したMTIが欧州で進めてきたデータ共有の取り組みについて伺いました。聞き手はSansan株式会社デジタル戦略統括室 室長/一般社団法人CDO Club Japan 事務局マネージャーの柿崎充氏です。

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デジタル領域の取り組みは“ネバーエンディングストーリー”

柿崎充氏(以下、柿崎):まずはDXグランプリ2023の受賞おめでとうございます。どのような点が評価されたのでしょうか。

鈴木英樹氏(以下、鈴木):ありがとうございます。評価がほぼ満点に近かったので、実際にどこが最も評価されたのかは審査員に聞かないとわからないのですが、プレスリリース[1]ではクラウド・ファーストも評価されたとしています。

 日本郵船が大きく変わったのは、2018年のことです。コンテナ船部門を他社と統合したことで、ITインフラをすべて構築し直す必要に迫られました。そこで全員にiPhoneを配ってどこでも仕事ができるようにするなど、クラウド化が一気に進んだ経緯があります。

 今回のDXグランプリの前に、船舶IoTで「IT Japan Award 2019」をいただいている[2]のですが、その時は、世界各国の船から様々なデータをとり、メンテナンスの最適時期などを分析していることが評価されました。それまで船のメンテナンスは、車の車検のように決められた年数で行われていました。しかし、経路や積み荷が変われば、船舶への負担も変わります。そこをデータ化して最適なメンテナンス時期を計測できるようにしていたのです。

柿崎:いずれもコロナ禍よりも前の取り組みですよね。着手が早くて驚きました。

鈴木:ありがとうございます。柿崎さんもよく発信されていますが、DX推進は地味なプロセスです。そこには「IT」「デジタル」がありますが、前者はシステムを導入することなので、プロセスがしっかり分析できてその絵が描ければ前に進めます

 一方で、後者であるデジタルは、ビッグデータを活用して因果関係を見つけ、新しい発見をすることです。自動的にアウトプットできるシステムでも、何かとブラックボックスの部分が多いため、最終的に人がデータを見て「まだパラメータが足りていないかもしれない」などと判断しながら、チューニングを繰り返すことになります。デジタル領域に取り組むのは、“ネバーエンディングストーリー”です。いつ終わるかわからないし、お金もいくらかかるかわかりません。

柿崎:しかも、ITとデジタル、この2つの世界が相互に嚙み合わないといけないですよね。

鈴木:そうなんです。DX部門とIT部門が別だとか、CDOとCIOは別であるべきだといった議論はナンセンスです。セキュリティを知らないデジタルも、インフラネットワークを知らないデジタルもあり得ません。また、新たな発見に向けた探索ができないITもあり得ないと思います。


[1]日本郵船株式会社 プレスリリース(2023年06月01日) 「DXグランプリ 2023」に選定

[2]日本郵船株式会社 プレスリリース(2019年06月10日) 日経コンピュータ主催「IT Japan Award 2019」グランプリ受賞

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この記事の著者

佐藤 友美(サトウ ユミ)

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