2026年5月15日、コーン・フェリー・ジャパンは、グローバル トータルリワード パルスサーベイの最新版を発表した。本調査は2026年2月、オンラインアンケート形式で実施され、133か国・4,252の組織から回答を得た。対象は企業の人事やトータルリワード分野の専門家であり、様々な規模・地域・所有形態の企業や団体が含まれている。

今回の調査は、急速に進展するAIが職務内容や報酬体系にどのような影響をもたらしているかに焦点を当てた。AIを中核スキルとする専門職、AI導入により業務内容が変化しつつある既存職務、そしてAI変革をリードするリーダー人材という三層を中心に検証が行われた。
AIなど技術を中核とする専門職については、AIエンジニアやデータサイエンティスト、機械学習専門家などの需要が拡大している。これらの職種では、同等職務と比較し10~15%ほど報酬プレミアムが生じている。なお、これらの領域では職務進化の速度が速く、市場データの更新が追いついていないという状況も指摘され、企業は外部ベンチマークだけでなく自社判断をより重視する傾向がみられた。
既存の多くの職務においては、回答者の76%がAIによる影響が加速していると認識しつつも、明確な職務影響は全体の5~10%程度にとどまっている。AIの導入後、業務内容や職務価値の変化によりベース給与が減額されたケースはあるが、その幅は5〜10%程度となっている。しかし、多くの企業では単純な報酬削減ではなく、職務再設計や役割の再定義、従業員のリスキリングやアップスキリングを優先する動きが主流となっている。
また、AIを活用した変革を組織全体で推進できるリーダー人材への需要も高まっている。特に変革の初期段階では、これらのリーダーに対する報酬プレミアムやインセンティブ設計の見直し、事業成果と紐づく短期・長期インセンティブの導入が進められている傾向が明らかとなった。
本調査は、AIによる職務影響には一様性がなく、AI専門職、AIが影響する既存職務、これらを主導するリーダーの三層で報酬設計が分化しつつあることを示している。AI進展が、伝統的な職務ベースからスキル・能力ベースの報酬モデルへの移行を促していることも指摘されている。これにより、報酬設計担当者には高度なデータ分析力やAIへの理解、不確実な状況下での判断力が求められている。
デジタル部門カントリーリーダーの岡田靖代氏は「AIは人の仕事を置き換えるだけでなく、新しい専門職を生み出し、活用の判断を人間に求めている。AIと人の共存、仕事と報酬の再設計が重要な視点である」とコメントした。
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