A.T. カーニーは2026年7月23日、サプライチェーンマネジメント分野におけるAI需要予測の役割と実績をまとめた論考を公開した。本論考では、AIが従来の過去データ中心から多様な需要シグナルを統合した高精度な予測への進化を後押ししている状況を詳述している。
需要予測は生産や調達、配送などサプライチェーン上の重要な意思決定に不可欠であるが、従来の予測手法は過去販売実績や基本的な統計モデルに依存してきたことで、市場の急変や複雑な要素への対応に限界があったと指摘している。AIを用いることでPOSデータ、顧客属性、経済指標、天候、SNSセンチメント、競合動向など多数の社内外データが分析対象に加わり、高粒度かつ多面的な予測が可能となると説明する。
論考ではAI需要予測の導入効果として、生産計画作成時間の96%削減、予測精度の10~40%改善などを挙げている。事例として、グローバル食品メーカーにおいて18の分断されたデータソースを統合し、生産計画作成時間を短縮したこと、Lenovoでは約2,000社のサプライヤーと世界33拠点から収集した800超のデータソースを統合し、売上4.8%増、OTIF納入性能5%改善、製造・物流コスト約20%削減につなげた実績が紹介されている。

また、P&GはCOVID-19流行時にPOSやSNSセンチメントなどのリアルタイムデータとAIを活用し、従来信頼できなかった過去データに変わり、個々の製品・店舗レベルで精度の高い予測や新製品需要推計を行った。さらに、日本国内小売業でもAIによる需要予測を活用し、配送トラックの車両規模を30%削減したという。
AIは多様なデータを統合した上で、商品や店舗、製品セグメントごとに異なる予測手法を自動選択し、クラスタリングやセグメンテーション機能で特性ごとの分析も可能にしている。ケースによっては予測精度が10~40%改善し、小売企業Martinusでは、納期通りの受注充足率が84%向上した事例も紹介された。

さらに、新製品のように過去データが存在しない場合でも、AIは類似製品を特定し代理データとして活用することで、需要の予測精度を高め、供給過多や供給不足のリスクを抑える上で有効であると論じている。
今回の論考は、今後のサプライチェーンにおいてAI需要予測が意思決定の高度化と迅速化に寄与する重要な役割を担うことを示す内容となっている。
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