欧州発の経営コンサルティングファーム、ローランド・ベルガーは2026年9月1日、製造業における「フィジカルAI(Physical AI)」の現状と将来展望についてまとめた最新レポート「Physical AI: The next competitive advantage for manufacturers」を発表した。
レポートではまず、主要なフィジカルAIの適用先となる製造業と物流分野で、熟練人材不足が深刻化している状況に着目している。特に高齢化が進む中で、2050年までに熟練産業人材がドイツで16%、中国で24%減少する見通しであり、人材の確保が今後の大きな課題となると指摘した。
こうした中、すでに自律搬送ロボット(AMR)、AI対応ビジョンシステム、高度な製造オペレーション管理ソフトウェアの導入は、実験的段階から本格展開へと進んでいる。レポートはフィジカルAIを、①部品の取り扱いや組立を担う「知能ロボティクス」、②搬送や危険区域の点検を行う「自律移動体」、③画像認識や時系列分析で品質検査や工程最適化を行う「AI対応ディスクリートオートメーション」、④工場全体の計画、エネルギー利用、原因分析を高度化する「知能型製造オペレーション管理」という4つの類型に整理した。
これら複数の類型を組み合わせることで、ローランド・ベルガーのプロジェクト経験では、EBIT(営業利益率)を0.5~3ポイント改善できる可能性があるとしている。導入効果の内訳としては、人件費の10%削減、スクラップ(廃棄物)の10~30%削減、設備利用率の10~30%向上、品質管理の高度化などが挙げられている。
また、企業が競争力を高めるには、単一のロボットやAIモデル導入だけではなく、これらを工場全体で統合的に運用する能力構築が不可欠とレポートは指摘する。そのため、ユースケース、IT/OTアーキテクチャ、運用モデルを一体で設計し、複数工場間で共通的に展開できる基盤をつくることが重要であると提言した。
最後に、詳細な分析や提言は同社ウェブサイトで英語版レポートとして公開されている。製造業の経営企画部門や新規事業開発担当にとって、今後の変革推進の指針となる内容といえる。
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