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長寿企業は保守的ではない。東レ・サッポロ・DNPが語る、持続的成長の“秘訣”

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 創業100年を超える日本の長寿企業は、いかにして激動の時代を生き抜き、持続的な成長を遂げてきたのか。今年創業150周年を迎えた大日本印刷株式会社(DNP)が「長寿企業のDNA」を探る調査を実施した。本記事では、その調査結果をもとに、大日本印刷 専務取締役の杉田一彦氏、同じく今年150周年を迎えたサッポロビール株式会社の常務執行役員 武内亮人氏、今年100周年を迎えた東レ株式会社の上席執行役員 島地啓氏によるトークセッションの模様をお届けする。3社が自社の歴史を振り返りながら「激動の時代に変化させたもの/させなかったもの」「絶体絶命の危機の乗り越え方」、そして「痛恨の失敗から得た教訓」までを赤裸々に語った。モデレーターは作家・コンサルタントの佐藤智恵氏が務めた。

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独自調査で見えた「長寿企業は保守的ではない」という真実

佐藤:本日は「長寿企業のDNAから企業の持続的成長の秘訣を考える」というテーマで、各社役員の皆様にお話を伺います。まずはDNPの杉田さん。周年事業といえばシンポジウムや社史編纂が多い中、今回のような調査を実施したのはどのような経緯だったのでしょうか。

杉田(DNP):最大の理由は、今年150周年を迎えるにあたり、単なる自社のアピールにとどまらず「100年以上続く企業の特徴」を客観的に分析したかったからです。そこから我々が今後も持続的に成長していくための示唆を得たかったですし、何より多くの企業にとって参考になる意義があると考えました。そこで、同じく150周年のサッポロビールさん、100周年の東レさんにもお声がけし、本日のセッションに至りました。

佐藤:当事者の皆様は、この調査結果をどう受け止めましたか? ハーバード・ビジネス・スクールのジェフリー・ジョーンズ教授も意外だったと指摘していましたが。

武内(サッポロビール):当事者として非常に共感したのは、創業時の強みを基盤に変化を繰り返してきた点です。一方で意外だったのは「保守的ではない」という結果ですね。日本の老舗企業はどうしても変わることを恐れていると見られがちですが、調査結果をフラットに見ても決して保守的ではないという点が、非常に印象に残りました。

企業は100年続いた理由
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島地(東レ):時代や環境の変化に対応した企業が生き残るというのは、当たり前のようですが、本当にそういうことだと深く共感しました。ただ、長寿を支える強みのトップは「人材」だと思っていたのですが、5位以内には入っているもののやや下位だった点は、少し意外でしたね。

長寿を支える“強み”
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杉田(DNP):私が一番印象に残ったのは「業績が伸長傾向にある企業ほど、挑戦を評価する風土がある」という点です。結局のところ、企業の変化を支えているのは、新しい市場や技術への挑戦を後押しする企業風土や、困難に直面してもやり通す社員のスピリットなのだと改めて感じました。

成長傾向が高いタイプの共通点① 挑戦を評価する文化
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時代や市場の変化にあわせた「立ち位置」と「提供価値」の再定義

佐藤:ここからは各社の長寿要因についてお伺いします。皆様はこの長い歴史の中で、一体何を変化させてきたのでしょうか。まずは島地さん、いかがですか。

島地(東レ):実は、事業によって少しずつ違いがあります。たとえば繊維事業はレーヨンの糸の製造から始まり、テキスタイル(布地)、そして縫製品へと、一次元から三次元へとお客様に対する立ち位置を変えてきました。ポリエステルのフィルムも、かつてのVHS用から液晶用の配向膜、光学用、電子材料へと用途の転換をどんどん図っています。炭素繊維については、最初から航空機に使いたい思いがありましたが、非常に厳しい信頼性が求められるため、まずは価格の通るゴルフのクラブや釣り竿などで実績を積み、結果として航空機に至りました。

佐藤:武内さん、サッポロビールは社名にビールとついていますが、この150年間で何を変化させてきたのでしょうか。

武内(サッポロビール):私たちは「顧客価値の再定義」と「価値創造の仕組み」を変え続けてきました。というのも、150年前に初めてビールを飲んだ方と現代のお客様とでは、お酒に求める価値がまったく異なります。時代に応じた価値の定義を変え、単に美味しいモノを作るだけでなく、体験や感情的な価値を創造する仕組みへとシフトしてきました。また、経営形態も過去の再編や分割を経て現在は事業持ち株会社に移行するなど、価値創造のための仕組みそのものも大きく変革しています。

杉田(DNP):我々は世界トップシェアの製品として、有機ELディスプレイ用のメタルマスクやバッテリーパウチなどを手掛けていますが、一見印刷とは無関係に見えるこれらも、すべて印刷のコア技術でつながっています。印刷技術を応用・発展させて事業領域を広げてきたのです。現在はさらなる変革として、お客様の要望に応えるだけの「受注体質」から転換し、自らが社会課題を捉え、主体的に新しい価値を創出する企業へと変わることに力を入れています。

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事業縮小の危機を「隣接領域へのシフト」と「リスキリング」で乗り切る

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この記事の著者

梶川 元貴(Biz/Zine編集部)(カジカワ ゲンキ)

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