「早く機械に代替されないかな」の先にあった、経営企画の面白さ
これまで、経営企画のさまざまな業務を取り上げ、その意味をお伝えしてきました。現在、「結局、毎日作業に追われるだけで何も変わらない」「熱意なんか持てない。他部署に移りたい」と、思っている方もいるかもしれません。
私もそんな事を考えている時期はありました。出社すれば、数字まみれの仕事が山積み。各部門から集めた売上や原価のデータを整え、事業別の利益率を計算し、指定されたフォーマットにまとめる。「とにかく終わらせねば」と、無心でこなす毎日でした。面白いかと問われると何とも言えず、「この業務、早く機械に代替されないかな」と思っていました。
ところが、人間というのは恐ろしいものです。ある一線を越えると、「Excelに向き合うのも、なんだか楽しいかも」と思い始めました。仕事に耐えるため、脳が勝手に「楽しい」と判断するようになったのかもしれません。もちろん、気力はすり減る一方でした。
そんな私に変化が訪れたのは、経営企画の仕事を広く見渡すようになってからです。目の前の業務は大きな流れの一部にすぎず、その先にはもっと大きな役割がある。「経営企画って、実は面白い仕事なんだ」と思えるようになったのです。
数字をつくるだけでは終わらない、経営企画の4段階
では、経営企画の仕事はどこまで広がるのでしょうか。私は、経営企画の仕事を理解するために、便宜上4つの段階に分けて考えています。必ずしも上に行くほど偉いという意味ではありません。
■レベル1:見える化
社内の状況が見えるよう、正確な数字をつくる段階です。
【具体例】
- 各部門から売上・原価・経費などの実績を集め、経営会議用の表やグラフ、管理資料にまとめる
- 予算との差や達成率、売上などのKPIを、部門別・事業別に一覧化する
一見すると、私が「早く機械に代替されないかな」と思っていた“日常的な雑務”にほかなりません。ただし、忘れてはいけないのは、ここが経営企画の“土台”であるということ。面倒だからと適当な数字を出せば、その先でどれほど立派な分析をしても、すべて台無しになります。忙しいなかでも正確な数字を出している。それだけで十分に価値があるのです。
■レベル2:要因分析/示唆の提示
「見える化」から一歩進み、数字の裏で何が起きているのかを読み解く段階です。
【具体例】
- 売上や利益、費用の予算との差や増減を見て、どこに問題があり、なぜ起きたのかを探る
- それが業績や年度計画にどれくらい影響するかを計算する
レベル2は、意識しなければ到達できません。私もかつては、求められた数字や資料をつくって終わりにしており、上司から「なぜこうなっているのか、原因を調べてこいよ」と叱られて初めて、その先にも仕事があると知ったくらいです。
しかも、原因は「管理者に聞けばすぐわかる」というものでもないのが厄介なところです。前職で、予算からコストが減った要因を調べ始めたときのことです。現場に尋ねると、「分からない」と一蹴されたことがありました。「予算の時の前提を教えていただいても良いですか?」と問うと、「概ね変わらないと思って前年同等で入れていました」という返答。こういったことはしばしばあります。
分からないものは仕方がないので、一緒にコストの内訳や集計方法を調べました。すると、実際に費用が削減されたのではなく、計上時期のズレのずれによってコストが減ったように見えていただけだと判明。翌月には解消されるため、事業上の影響はないと判断できました。
分析では、こうした一つ一つのやりとりにもかなり工数を使います。しかし、ここで疲れ切ってしまってはもったいない。経営企画の本当の魅力は、さらにその先にあるからです。



