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リスキリング・学び直しへの期待がある企業は6~8割──リクルートマネジメントソリューションズ調べ

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 リクルートマネジメントソリューションズは、「企業における『リスキリング』『学び直し』の推進に関する実態調査」を実施し、その結果を発表した。同調査は、企業の「『リスキリング』や『学び直し』の取り組み状況」「推進課題や推進のための支援策」などの実態を明らかにするために実施。なお、新しい知識・スキル獲得を会社が主導する場合を「リスキリング」、個人が主導する場合を「学び直し」として用語を使い分けているという。

調査概要
  • 調査対象:人事企画、人材開発などの責任者
  • 調査方法:個別企業に対するWebアンケート回答
  • 調査期間:2023年7月12~31日
  • 有効回答社数:182社

「リスキリング」「学び直し」への期待がある企業は6~8割だが、具体的なメッセージの発信は4割前後にとどまる

 経営やマネジメント層から「リスキリング」「学び直し」への期待がある企業は6~8割。一方、具体的なメッセージが発信されている企業は4割前後にとどまった。「期待はあるが具体的なメッセージがない」状況にある企業は3割前後だった。

図1
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「リスキリング」に関して、従業員へ発信するメッセージは「会社が今後起こりうる変化に備えるために必要なこと」が7~9割

 会社主導の「リスキリング」に関して、従業員へ発信するメッセージ内容は、メッセージを出している企業の7~9割前後が「2.会社が今後起こりうる変化に備えるために必要なこと」、6~7割前後が「3.自社が新しい事業や市場を創造するために必要なこと」を選択。「8.個人のキャリアの可能性を広げる手段となるもの」とメッセージする企業も半数前後あったという。

 個人主導の「学び直し」に関しては、個人のキャリア形成のためとメッセージするか、会社の事業変革のためとメッセージするか、回答企業の傾向は分かれている。999名以下・製造(9社)では、「8.個人のキャリアの可能性を広げる手段となるもの」であり「9.個人の主体性に任せた自己啓発的なもの」とする企業が大部分を占める。他方、1000名以上・製造(25社)では80.0%、999名以下・非製造(18社)では72.2%が「2.会社が今後起こりうる変化に備えるために必要なこと」だとしている。

図2
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「生産性向上」「DX」「キャリア自律」の知識・スキル獲得に取り組む企業は半数を超える。成果実感の割合が高い「リスキリング」「学び直し」の内容は、「生産性向上」「公募異動や副業などを通じたキャリアチェンジ」のための知識・スキル獲得

 「リスキリング」「学び直し」の知識・スキルの内容ごとの取り組み状況としては、「1.現在の担当業務の生産性を向上するための知識・スキル獲得」「6.DXを推進するための知識・スキルの獲得」「12.従業員の自律的・主体的なキャリア形成のためのスキル獲得」の選択率が高く、実施企業の割合が全体で半数を超えた。

 成果実感の割合が5割を超えたのは「1.現在の担当業務の生産性を向上するための知識・スキル獲得」「10.社内・グループ内の公募異動や副業制度などを通じたキャリアチェンジのためのスキル獲得」となった。

図3
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今後検討が多いのは「シニアのキャリアチェンジ」「新戦略実行」「新規事業」のための知識・スキル獲得

 実施企業中、成果実感がある企業の割合を図表4の縦軸に、実施検討中の企業数を横軸に示し、縦軸を50%、横軸を50社で便宜上区切り、4つのエリアに分けた。円の大きさは現在実施している企業数を表しているという。

 左上エリアは、今後も安定運用される「定着施策」となることが考えられ、「1.現在の担当業務の生産性を向上するための知識・スキル獲得」が該当。右上エリアは、実施企業が増え成果の見通しもある「トレンド施策」といえ、「10.社内・グループ内の公募異動や副業制度などを通じたキャリアチェンジのためのスキル獲得」が該当するという。

 右下エリアは、今後実施意向の企業が多いが難度の高い「注力施策」といえ、「11.役職定年後または定年後のシニア層のキャリアチェンジのためのスキル獲得」「2.既存事業において新しい戦略を実行するための知識・スキル獲得」「5.新規事業やイノベーション創出のための知識・スキル獲得」などが該当。個人のキャリアや事業の転換につながる取り組みが本格化していくとみられるが、成果実感につなげるには一層の工夫が求められそうであると同社はみている。また、左下エリアは、今後の継続・導入の必要性を慎重に検討すべき「要点検施策」といえる。

図4
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「リスキリング」の推進課題は非財務的戦略シナリオと学ぶべきスキルの特定。「学び直し」の推進課題は支援環境づくり

 会社主導の「リスキリング」と個人主導の「学び直し」を、どのような対象に求めているか尋ねたところ、そのパターンから4タイプが見出されたという。

  • 全方位型:すべての従業員区分にリスキリングと学び直しを求める
  • キャリア別使い分け型:若手にはリスキリング、中堅以降や管理職には学び直しを求める
  • 個人主導型:すべての従業員区分に学び直しを求めるが、リスキリングは求めない
  • 消極型:中堅以降にリスキリングを求める場合もあるが、学び直しは求めない

 企画・推進上の課題認識は、「リスキリング」「学び直し」のいずれにおいても、「15.従業員の学ぶ意欲を引き出すことが難しい」「16.従業員が学ぶ時間の確保が難しい」の選択率が高い。推進対象も方法も幅広い「全方位型」の課題感が強かった。

 従業員に「リスキリング」を求める「全方位型」「キャリア別使い分け型」では「3.財務的目標を達成していく上での、非財務的な戦略シナリオが具体的でない」「5.学ぶべき具体的な能力・スキルを特定することが難しい」の選択率が高い。これらは「学び直し」中心の「個人主導型」では選択率が低く、「リスキリング」推進の要点と考えられるとしている。

 「個人主導型」では「学び直し」の推進課題として、「18.社員がお互いに学び、高め合う風土づくりが難しい」「20.自社内のキャリアパスの可視化・明示が難しい」「21.部下の能力開発・キャリア開発に対する管理職の意識が低い」など支援環境づくりの選択率が高い。意識や行動の個人差を埋める施策や個人の学びと自社内のキャリアパスとのつながりを示す施策が求められており、管理職の意識改革が必要とされているという。

図5
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成果実感の有無は関与する部署により違いがみられる

 「リスキリング」の各施策(図表3)のうち導入割合の高かった「生産性向上」(図表3の1)、「DX」(図表3の6)、「キャリア自律」(図表3の12)を取り上げ、成果実感の有無で群分けをして、1~11の企画・推進プロセスそれぞれに各部署・機能が関与している割合に統計的に有意な差がみられた場合にポイント差を記載しているとのこと。「生産性向上」については、戦略策定の最上流工程とスキル開発目標の具体化・すり合わせに、「2.本社人事企画部門」「3.本社人材開発・育成部門」「4.事業部人事・HRBP」といった人事機能が関与することが成果実感の有無を分けている可能性があるとしている。

 「DX」については、「1.経営・事業責任者」が、学んだスキルを発揮する実践の場の提供まで責任を持つことが重要といえる。また、「3.本社人材開発・育成部門」と「4.事業部人事・HRBP」による新しい戦略や技術と業務プロセスやスキル要件や学習目標の接続から支援環境づくりまで一貫した連携が有効だと考えられる。「キャリア自律」については、「3.本社人材開発・育成部門」の関与に差がみられ、個人のためと企業のためという学習の文脈の接続が成果実感を分ける可能性があるという。

図6
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「リスキリング」「学び直し」促進のための支援策は「管理職のマネジメント能力の向上支援」が最多

 導入率の平均が5割以上の「リスキリング」支援策は、導入率が高い順に「16.管理職のマネジメント能力の向上支援」「2.教育訓練プログラムの提供」「13.目標管理制度などを通じた、個人目標と組織目標の連動の担保」「5.費用面での支援」だった。

 「2.教育訓練プログラムの提供」「5.費用面での支援」は「学び直し」支援としても平均して半数以上の企業に導入されている。「学び直し」支援としての導入率が「リスキリング」より高いのは「5.費用面での支援」「4.休暇制度の整備による時間面の支援」となったという。

図7
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BizZine編集部(ビズジンヘンシュウブ)

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