両利きの経営の鍵は既存事業のアップデート
紺野:既存事業と新規事業の関係について考えるときに、気がかりな点の一つが「多くの人が両利きの経営を誤解しているのでは」ということです。両利きの経営というと、「既存事業と新規事業を同時に行えばいい」と考える人が多いような気がします。
しかし、それは利き手の例えでいえば、右利きと左利きを合体させただけであって、両利きとはいえません。両利きの人は左右の手で同じ動きができるなど、一種独特の器用さがあります。これは両利きの経営でも同様で、既存事業の資源を再配分しつつ、新規事業で新領域を開拓するイノベーションを創出し、相互に影響を与えながら全体をスケールしていくのが本来の姿ではないでしょうか。