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企業の垣根を越えたイノベーション創出を仕組み化する──経営者イノベーション・ラウンドテーブル【中編】

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試行錯誤の成果としてのイノベーション・マネジメント

 イノベーションを促進するためには、適切な環境と組織文化の整備が不可欠だという議論も各テーブルで展開された。ある企業では、突然現れるスター社員がイノベーションの軸となることがある一方、他の多くの社員は保守的で、新しいアイデアを評価しにくいという。まずは、そうした文化を変えるために、外部でアイデアが評価される体験を社員に積んでもらい、社員が自らのアイデアの価値を認識できる環境を整えていると共有された。

 別の企業では、月に一度、新規事業の提案を自由に持ち込む会議が開かれており、社長、システム担当役員、担当者の3名で即座に予算を決定できる体制が整備されている。たとえその場での採用に至らなくても、調査費用が提供されるなど、挑戦を奨励する文化が根付いているという。

 また、システム導入時にはトップのリーダーシップが重要であるとの指摘もあった。ある企業では、IMS導入時に「試行錯誤を推進する」という文言を経営方針に盛り込んだ。これにより、以前は抵抗が多かった他部署からも学びたいという声が上がり、スムーズな導入が進んだ。IMSが共通言語となったことで、外部リソースを導入する際の議論の基盤が整い、柔軟な変革が可能になったという。/p>

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 さらに、ある企業でのプロジェクトの成功例も紹介された。10年前に7人で立ち上げたチームが、その1年後には70人に増加したが、加わった63人は正社員ではなく、出向や派遣社員などから構成されていた。そうした外部の人材が既存業務を学ぶ中で、イノベーティブなソリューションが生まれていったと振り返る。この際、私服通勤を導入するなど柔軟な文化を醸成し、受け入れ体制を整えたと話す。

企業間の垣根を越えたイノベーション創出を仕組み化する

 自身の経営経験から、現代のハードウェアは複雑化しており、1社単独の開発は不可能であるため、さまざまな企業や技術の連携が不可欠であるとの意見もあがった。開発、製造はもちろん、マーケティングや販売においても、同様の連携アプローチが必要だという。そして、社内のイノベーションプロセスを定義することは重要だが、これからの時代を見通せば、多様なステークホルダーが連携してイノベーションを生み出すためのシステム構築が不可欠だと述べた。

 一方で、新規事業の内製やスタートアップの支援については産学での議論が盛んであるが、企業間の連携から生まれるイノベーションについては議論が少ないと感じていると話す。

 現在の経営には、利益追求だけでなく、社会的視点が求められている。現代の経営は、社会のリソースをどう集め、それをいかに価値として社会に還元するかを積極的に示していく必要があるのだ。もはや一社で課題を解決するだけでは不十分であるとした。

 別の参加者も同意する。かつては自社のビジョンと戦略で収益を上げることが経営であったが、それでは、現在求められるレベルのインパクトを生むことは難しいと指摘。社会的ニーズが拡大する中で、それにどう応えるかが大きな課題になっている。

 ラウンドテーブルは、3つめのテーマである「大学を中心とした産学官連携とエコシステムの構」に関しての議論へ移った。

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第二のラウンドを振り返って(紺野登)

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この記事の著者

雨宮 進(アメミヤ ススム)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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