大学も技術のみへの注力ではなく、総合的なイノベーションの推進を

ストックホルムのスウェーデン王立工科大学(KTH)の訪問では、「“イノベーションレディネス”レベル」という指標が印象に残ったという。国内のイノベーション推進を仕組みや知識の面でリードする同大学では、技術偏重の評価方法がもたらす課題を解決するため、こういった独自の指標を開発している。
一方、日本国内で広く活用される「テクノロジーレディネスレベル(TRL)」は、技術の成熟度を測る上で重要な指標だが、社会的・経済的要素を十分に考慮していない。たとえば、TRLがレベル8に達すると市場投入が可能とされる一方で、市場ニーズやビジネスモデル、他企業との連携など、技術以外の要素が十分な評価を行わないことが多い。この偏重が、日本のイノベーション創出における課題の一つとして浮き彫りになっている。