KDDIグループのアセットを活かした支援が導入効果を引き上げた
──Vonage Voice APIの導入による成果をお聞かせください。
青嶌:現在は導入のテスト段階なのですが、現時点で既にコストの削減効果が生まれています。特に効果が大きいと感じるのは、いわゆる「ガチャ切り」の場合です。既存のCPaaS製品の場合、相手先が電話に出た直後に通話を切ったとしても1分間分の料金が課金されます。しかし、現在ではガチャ切りでも数秒間分の料金しかかからないため、テストに要する費用が大幅に低減されています。
今後も、新たにサービスや機能を開発する際にはテストを実施しますが、テストの費用が安いのに越したことはありません。テストを安価に実施できるということは、一回の開発につき実施できるテストの回数も増えるということなので、サービス開発や機能開発の品質を高められます。その点でも、Vonage Voice APIは有用です。
また、サービスを提供する立場としては、KWCがサポートをしてくれているのは大変心強いと感じています。製品提供に責任を持つ立場としては、いつ体制が変わるかわからないベンダーとは長期的な関係を築けないというのが正直なところです。その点、KWCは日本企業であり、かつKDDIグループという盤石の組織基盤も有しているので、パートナーとしては最適な存在だと思っています。
現在のところ、既存のCPaaS製品とVonage Voice APIを同時並行で利用していますが、今後はVonage Voice APIを主要なサービスとして軸足を移していく方針です。複数の回線を確保する必要があることから、既存のCPaaS製品を完全に停止することはありませんが、やはりコスト面での差が歴然なので、Vonage Voice APIの活用を可能な限り拡大していきたいと思っています。

──KWCのお二人から見て、知るフォンへのVonage Voice API導入のポイントは何だったと思われますか。
青木:私としては、二つのCPaaS製品を並行稼働させることで、システム、サービスの両面で冗長化が図れる点だと思っています。従前、こうしたユースケースはあまり多くなかったのですが、従量課金性のサービスであるからこそ、コストを最小限に抑えつつ堅牢なサービスを作り上げることができるのはVonageの魅力の一つだと思います。
高橋:私は今回の導入では、当社に蓄積した知見を数多くご提供できたと考えています。KWCは2013年からCPaaS製品を提供しており、CPaaSは国内でも草分け的なベンダーです。そのため、様々なアセットや知識を社内に蓄積しており、さらに通信キャリアとしての知見も加えてご提供できます。特に知るフォンは通信サービスですから、幅広い知見をもとに導入をサポートできたと思っています。
青嶌:KWCの専門的で高度な知見にはとても感謝しているのですが、私としては「日本語でコミュニケーションできる」というのが実は最も有難いサポートでした。
主要なCPaaS製品はすべて海外製品ですから、サポートのやり取りが英語ということも少なくありません。実際に、既存の製品は英語でサポートを受けています。さらに、KWCは日本の商習慣にも当然精通していて、コミュニケーションで齟齬を感じることがほとんどありません。日常的にサポートを受けている現場のエンジニアたちも「Q&Aなどのサポートサイトが充実している」と話していましたし、サポートの手厚さは間違いないと思っています。