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NTT西、元旭化成、経産省が語る、大企業の新規事業を阻む“壁”の壊し方とイノベーション創出

新規事業大会議 基調講演レポート

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組織の壁を越えて「外とつながる」価値

福田:最後のテーマは「外とつながることで得られたもの」です。池田さんからお願いします。

池田:イノベーションは官民共創、つまり「共に創る」ものなので、もはや越境して外部とつながることは自然なことになりつつあります。しかし、その中で実感するのは、それぞれの組織が使う「言語」、その背景にある目に見えない「ルール」や「フォーマット」が大きく異なるということです。それが特に浮き彫りになるのが、役所とスタートアップの関係性においてかもしれません。

 「スタートアップ育成5か年計画」をスタートアップ関係者にお見せし始めた頃の経験ですが、役所のかっちりした政策文書をPowerPointに変換しただけのような体裁だったため、「古文を読まされているようで苦痛だ」と言われたことがありました。それ以来、情報をいかにわかりやすく、アクセスしやすく伝えられるかを、今まで以上に深く考えるようになりました。「越境」というキーワードは非常に重要ですが、そのためには相互理解、それを促す自己開示が不可欠だとあらためて感じています。

経済産業省 池田陽子氏
経済産業省 池田陽子氏

山下:新規事業には様々なパターンがありますが、特に新しい市場を創造しようとする場合、元々バリューチェーンが存在しないので、自社だけで完結することはできません。これは、技術を自社だけで作れないという意味だけでなく、他社と組まなければバリューチェーンが成り立たないという意味です。バリューチェーンを構成する他の企業にとっても、それは新たな挑戦となるため、最初から外部とのつながりを前提とし、自分の立場を考える必要があります。

 新しい市場を創りにいく際、時には同じ事業を手がけるライバルメーカーも、新規事業の初期段階では明確な「味方」となることがあります。この点を誤解してはいけません。

福田:自社だけで完結しない以上、他社に依存する要素があってこそのバリューチェーンであり、サービスであるという前提に立つべきだということですね。市橋さんはいかがでしょうか?

市橋:外部とつながることで得られたことは、挙げればきりがないほどたくさんあります。モチベーションの向上、視座の高まり、自身の強みと弱みを客観的に理解することなどです。オープンイノベーション施設はともすると外からはピッチなどの“イベント屋”のように見えることもあるかもしれませんが、QUINTBRIDGEを運営する立場として特に強調したいのは「アイデアが枯渇しない」あるいは「問いが枯渇しない」という状態が作り出せることです。

 大企業には課題を解決する手段はありますが、良い「問い」や「課題」を見つけることが非常に重要です。QUINTBRIDGEでは、日々新しいアイデアやテーマが持ち込まれます。これにより、常に「これもできる、あれもできる」という可能性が生まれます。スタートアップピッチは、自分たちの事業の「未来の取引所」を見ているような感覚だと幹部層にも伝えています。このような形で外部とつながる意義を強く感じています。

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未来を創るすべての挑戦者へのメッセージ

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この記事の著者

梶川 元貴(Biz/Zine編集部)(カジカワ ゲンキ)

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