2:大手コンサルファーム出身者のブティックファーム設立
栗原:2つ目はいかがでしょうか?
横山:大手ファーム出身のコンサルタントが独立してブティックファームを立ち上げることも1つの傾向です。ライズ・コンサルティング・グループやグロービング、ディルバート、ノースサンドなどが台頭してきていますね。
中野:「ベイカレント・クローン」と呼ばれているのですが、急成長するベイカレントのやり方を取り入れて急成長するブティックファームも目立っています。それまでのコンサルファームは上級コンサルタントであるパートナーが営業をしていたのですが、ベイカレントは、営業専門の部隊を作り、営業攻勢をかけるというモデルを作りました。ディルバート、ノースサンドはまさにベイカレント出身者が創業したIT系のブティックファームで非常に目立っています。
横山:ブティックファームは働き方が多様化しているのも特徴ですね。「ワークライフバランスを重視しています」というところもあれば「ハードワークだけど、外資系のファームよりも遥かに年収が高い」という設計をしている会社もあります。また、金融専門や製造業専門のような形で業界特化型のファームも出てきています。

3:異業種からのコンサル業界への参入
栗原:異業種からの新規参入についてもお聞かせください。
横山:SIer、広告代理店からの参入は以前からありました。SIerではNTTデータ、富士通、NECが、広告代理店では電通と博報堂にもそれぞれコンサル子会社がありますね。他の業種でも、5大商社が全てコンサル子会社を持っていますので、コンサル業界と他の業界との境目が溶けつつある状況です。
栗原:現業だけでは厳しいから、コンサルティング業へと事業を広げていっているのでしょうか。
中野:アクセンチュアを筆頭に既存コンサルファームがSIerや広告の領域に進出してきて、上流から一気通貫で抑えられてしまうという状況があります。逆に自分たちもそこを取りに行く必要があるわけです。
栗原:商社はどんな目的でコンサル業界に入ってきているのでしょうか。
中野:これまでコンサルタントをよく使い、そこに予算を投じてきたのが商社ですよね。それを内製化する意図もあるようです。商社として幅広い領域と地域にまたがるネットワークや専門知識があるので、それを活かしてコンサルティングを提供するという狙いもあるでしょう。グループ内の案件を中心にやるところもあれば、外部市場で稼いでいこうという姿勢が見られる企業もあり、幾つかの意図や狙いがあり、各社取り組みには濃淡がありそうです。

栗原:他にもコンサルティング業に進出している業界はありますか。
横山:SaaSスタートアップなどでは、SaaSを提供しながらも、コンサル機能も提供する場合があります。有名なところだと、FLUXはマーケ系のSaaSを元々は提供していて、今はAIによる事業変革を銘打ち、コンサル機能を前面に押し出していますね。ログラスも、SaaSをやりながら経営企画機能の内製化支援やアウトソーシング支援などにも力を入れているようです。
中野:エンタープライズ系のサービスだと、システムだけあっても解決できない部分が多く、自ずと人が必要になるんですよね。そうするとコンサルタントが求められるようになるわけです。
栗原:提供サービスが「人が要のコンサルだけ」だと労働集約的なビジネモデルになりがちですが、SaaSと組み合わせると収益も拡大しそうですね。
横山:そうですね。他には、M&A総研がDX支援やAI導入支援などを手掛けるクオンツ・コンサルティングを立ち上げて、M&Aに次ぐ第2の柱としてコンサルティング事業を展開しています。