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「現場と経営」による新規事業の成功戦略

「組織の癖」を無視した新規事業は失敗する。自社に最適な新規事業マネジメントの“型”を見つけよう

第3回

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自社に最適な成功の型を見つける方法

 新規事業のマネジメントに、あらゆる企業に通用する“正解”はありません。これまでの連載でも書いたように、リーンスタートアップが注目された新規事業「2周目」の時代には、「とにかく動くこと」が過度に重視されましたが、結果として多くの企業で小粒な事業が乱立し、会社全体へのインパクトが見えないという課題が生まれました。

 現在の「3周目」以降に求められるのは、他社の成功事例(一般解)を模倣するのではなく、自社の組織の癖を深く理解し、自社だけの成功の型(特殊解)を見つけ出すことです。

 そして、この特殊解を見出した上で事業を成功に導くには、2つの異なる役割を担う人材が不可欠であることも、私たちの経験から明らかになっています。

  • アイデア創出・実行役:アイデアを生み出し、社内外の協力者と共に事業を立ち上げる推進者
  • 経営・現場調整役:アイデアを経営層が理解できる言葉に翻訳し、組織的に守り育てる支援者

 イノベーション創出の文脈では、早稲田大学ビジネススクールの入山教授が前者を「チャラ男」、後者を「根回しオヤジ」と表現しています。

 従来の新規事業論では、前者の「アイデア創出・実行役」ばかりに光が当てられてきました。特にリーンスタートアップが流行した2周目の時代には、「とにかく動ける人材を」という発想で、このタイプの人材獲得や育成に各社が注力しました。

 しかし、どれほど優秀な実行役がいても、その活動や成果を経営層に適切に伝え、組織としての支援体制を整える「調整役」がいなければ、事業は大きく成長できません。大企業において、既存事業のリソースを活用できるかは、新規事業の成否を分ける死活問題であり、この調整役の存在は極めて重要です。

 成功事例を振り返ると、必ずこの2つの役割が存在します。ソニーのゲーム事業参入時には、久夛良木健氏が「アイデア創出・実行役」を担い、当時ソニー・ミュージックエンタテインメントの要職にあった丸山茂雄氏が「経営・現場調整役」としての役割を果たしたことが、プレイステーションの成功につながったと言われています。

 もっとも、こうした役割分担を個人の資質や人脈といった属人的なスキルに依存していては、ノウハウが蓄積されず、継続的な事業創出は望めません。そこで重要になるのが、個人のスキルに頼るのではなく、組織として再現性のある「仕組み」を構築することです。

 次回、連載最終回である第4回では、現場と経営のギャップを埋め、継続的に新規事業を推進するための人材・組織である「ビジネスプロデュースCoE」について詳しく解説します。

クリックすると拡大します

 属人的なスキルに依存せず、組織として再現性の高い新規事業創出を実現するための具体的な仕組みをお伝えします。どのような人材要件が必要で、どう組織に組み込むべきか。そして、現場担当者の皆さんがいかに仕組みを導入できるかまで、実践的な内容をお届けしたいと考えています。

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この記事の著者

田代 雅明(タシロ マサアキ)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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