2025年11月20日、メンバーズは地方銀行61行を対象に「Webサイト体験」と「顧客接点のデジタル化」の推進状況をまとめた「地銀61行 DX推進状況レポート2025」を発表した。本調査は2021年から毎年実施されており、今回で5回目となる。

本年は従来項目に加え、AI活用やWebアクセシビリティ対応の状況を新たに評価ポイントとして追加。背景には2024年の法改正による民間団体のWebアクセシビリティ対応義務化と、生成AIの社会実装加速がある。
主な調査結果として、大規模言語モデル最適化(LLMO)により自社情報がAI検索で参照されやすくなっている銀行は全体の約64%に達した。さらに、チャットボットの導入は約64%の銀行で確認され、24時間365日の問い合わせ対応による業務負担軽減や顧客体験向上への取り組みが進んでいる。
一方、Webアクセシビリティでは課題が浮き彫りとなった。弱視・ロービジョンユーザー向けに色彩・コントラスト比などの改善が必要な銀行が約72%、さらに31個以上の問題がある銀行が約39%と、視覚支援の施策が遅れ気味である状況が示された。また、音声読み上げ対応などの音声ユーザビリティの全項目で90点以上を達成した銀行は1行もなかった。
評価指標のうち「理解可能」は全行が90点以上と高評価されたものの、情報の「知覚可能」「操作可能」「堅ろう」の3指標ではバラつきが見られ、特に「知覚可能」は16行のみが90点以上となった。
オウンドメディアでは約30%の銀行が累計20本以上の記事を公開し、金融知識や地域情報の発信により、デジタル志向の顧客層や若年層との関係強化を図っている。また、銀行アプリの利便性向上も進展し、入出金や振込、残高照会が可能な銀行は全体の約85%まで増加。オンラインでの来店予約や相談サービスも前回調査比9ポイント増加し、全体の約49%に達した。


メンバーズは本レポートにおいて、「地域金融力強化プラン」など政府施策の加速や技術潮流を踏まえた継続的なDX対応の重要性を強調。デジタル技術を活用した顧客体験の進化と、社会的課題解決への貢献が今後も地方銀行の成長と地域社会の発展に直結するとの見解を示した。
今回のレポートは、「Webサイト体験」「顧客接点のデジタル化」という14項目で評価。地方銀行のデジタル変革が一定の進展を見せる一方、ユーザー視点でのアクセシビリティや包摂的なサービス対応の拡充が持続的成長の鍵となることが浮き彫りとなった。

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