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「新規事業提案制度」事務局運営のリアル

大東建託の「HIRAKU」が実践した人事連携の進め方。会社を救う“気概ある人材”を新規事業で育てる

ゲスト:大東建託 遠藤勇紀氏(後編)

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グループ会社を「出島」にする。事業譲渡と社員の「期限付き移籍」事例

イノベーション:もう1つ、「自ら賃貸」というサービスをグループ会社のハウスコムへ事業譲渡した事例もユニークですね。

遠藤:大東建託という巨大な組織の中では、ガバナンスや風土の問題で育ちにくい事業もあります。しかし、グループ会社ならフィットするケースがある。この事例では、提案者が「どうしてもこの事業を続けたい」という強い熱意を持っており、我々がハウスコム側に打診したところ、「本業の事業的機能としてサービスを欲しがってもらえた」形で利害が一致しました。

イノベーション:制度を運営する会社ではNGでも、グループのアセットを見渡すことで受け皿があったと。

遠藤:そこで、提案者がハウスコムへ“期限付き移籍”をして、PMI(統合プロセス)のように自ら事業を統合・推進し、軌道に乗せてから戻ってくるというスキームが実現しました。グループ会社を「出島」のように活用することで、事業の生存確率は高まりますし、何より「グループ会社に出向して事業を育てて戻ってくる」という大企業グループならではの新しいキャリアパスが生まれたと思っています。

「制度設計者が不在でも回る仕組み」を作る。制度運営に必要な属人性の排除

イノベーション:ここまでお話を伺っていると、制度の設計運用は遠藤さんの力量に依るところが大きかったようにも感じます。「遠藤さんがいなくなったらどうするんだ」という属人性の問題はどうお考えですか?

遠藤:大東建託グループの社内新規事業制度は、誰が運営しても品質を保てる制度にするフェーズだと思っています。前の制度(ミライノベーター)を作った人間は既に異動しています。私は前任からの引き継ぎを経て、チューニングを加え続け、満を持して大規模に再設計をしたのが今回のリニューアルです。

 これまで6回の運営でノウハウを蓄積してきて、制度の運営自体は内製化ができていました。今回のリニューアルでは、制度設計者がいなくても回る「仕組み化」も裏ミッションとして考えていました。

 人事部とスキルアップ部分で強力にタイアップするのも、事業提案プロセスにAIの仕組みを導入したのも、投資経験者や事業づくりのプロに外部メンターとして入っていただいたのも、すべては制度が持続的に仕組みとして回り、会社の資産として残っていくことを目指したものです。必要な部門が横断的に関わり、制度として最適な形であり続ける状態ができてきていると思います。

イノベーション:ご自身でリニューアルを提案され、愛着のある制度の属人性を取り除いていくことには葛藤もあったのではないでしょうか。

遠藤:「HIRAKU」という名前も考えましたし、葛藤はありましたね。ミライノベーター制度を立ち上げた前任者も同じことを言っていたのですが、この制度を自らの“事業”として我が子のように思っています。

 イノベーター理論で言う「イノベーター層」は、理論上私が旗を振らなくても勝手に応募してきてくださります。しかし、ボリュームゾーンである「アーリーマジョリティ層」を動かすには、誰が回しても機能する強固な仕組みが必要です。創業者のような愛着を仕組みに落とし込み自走していく、それこそが7回を数える大東建託グループの新規事業制度を“文化”として定着させるための、必須なピースだと思っています。

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自分で事業を作れることが制度の求心力になる

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この記事の著者

梶川 元貴(Biz/Zine編集部)(カジカワ ゲンキ)

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