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パナソニックが成熟市場で挑んだ、バケツリレー型商品開発からの脱却 縦割り組織から越境行動を生むには?

ゲスト:パナソニック株式会社 くらしアプライアンス社 谷口旭氏/パナソニック マーケティング ジャパン株式会社・首都圏社 北村洋平氏

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データが語る「組織学習」、本来の商いへの回帰

古澤:ME制を通じて得られた知見は、今後どのように組織に還元されていくのでしょうか。

谷口:私たちはプロジェクトの定量的な成果だけでなく、定性的な「プロセスデータ」の蓄積を重視しています。

 たとえば、経営層が出席するビジネスレビュー(決裁会議)の議事録は、要約せずに会話形式のまま4年分すべて保存しています。これを分析することで、「どのような局面でプロジェクトが停滞するのか」「どのようなフィードバックがリーダーの成長を促すのか」といった傾向が見えてくるはずです。

 利害関係者の影響や課題の根を可視化し、プロジェクトがどこでつまずきやすいかを組織として理解する基盤として、以下の「システミックデザインのマップ」をプロジェクトでは活用していました。レビュー記録との掛け合わせにより、組織として学習する仕組みが徐々に整ってきました。

画像を説明するテキストなくても可
資料提供:SYMBI「システミックデザインのループ図」
事業の全体像を俯瞰しながら、自部署が注力すべき領域を議論するためのマップ。関係者間の認識を統一し、意思決定の共通言語として活用。/クリックすると拡大します

 成功だけではなく失敗も含めた「経験学習」のデータを組織の資産として蓄積し、次のチャレンジャーに継承していくエコシステムを作っていきたいですね。

古澤:最後に、今後の展望についてお聞かせください。

北村:私は現在、販売会社に出向していますが、ME制で培った「ワンチーム・開製販一体」の感覚は、今の業務にも生きています。偶然も重なり、実際に開発に携わった電子レンジを店頭でお客さまに販売する機会にも恵まれました。

 ME制は特別なプロジェクトではなく、本来あるべき「商売の姿」を取り戻すための取り組みです。この経験をした人材が社内の各所に散らばり、組織全体が「お客さま起点」で自律的に動くようになることが、パナソニックの次の100年を作る鍵になると信じています。

谷口:ME制の究極の目標は、実は「ME制という制度がなくなること」かもしれません。制度がなくても、社員一人一人が当たり前のように部門を越えて連携し、お客さまに向き合い、挑戦する。そのような文化がパナソニック全体に定着した時こそ、本当の意味での変革が成し遂げられるのだと思います。

 ME制を経験したリーダーやメンバーが異動した先でも、自然と越境行動が生まれています。こうした“文化の芽”が各所に広がり始めていることこそ、制度の効果だと感じています。最終的には、制度がなくても人が越境し、お客さまに向き合える状態になることがゴールです。

 現在はまだ道半ばですが、「お客さまに向き合う力」を育む土壌として、さらに進化していきたいと考えています。

古澤:「制度」から「文化」へ。パナソニックさんの挑戦は、多くの日本企業にとっても希望となる事例だと感じました。本日は貴重なお話をありがとうございました。

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この記事の著者

栗原 茂(Biz/Zine編集部)(クリハラ シゲル)

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