桁違いの投資競争を勝ち抜く「大企業同士の共創」
梶川:最後のテーマ「新たな産業をどう創るか」についてお伺いします。
中馬:BtoCのエンタメ領域を例に挙げると、ラスベガスの「Sphere」のような体験型施設には3,500億円規模の投資がなされています。一方、日本のエンタメ施設は数十億円規模に留まり、桁が二つ違います。これでは“黒船”が来たときに太刀打ちできません。
自社単独で競合とのカニバリゼーションを恐れて小粒な自前事業をやるフェーズは終わりました。大企業には大企業の戦い方があります。これからは競合かもしれない相手とも手を組み、数百億、数千億という規模の経済を大企業同士の「共創」によって生み出していくべきです。イノベーションはスタートアップから、規模は大企業から。これが真のオープンイノベーションです。
藤本:我々もまさに、世の中ゴト化していないウェルビーイング産業を創るため、日本の産官学とグローバルエコシステムが連携する「WE AT」という取り組みを進めています。大学と民間企業十数社が集まり、社会実装や市場開拓支援を行っています。NDAなしですべてをさらけ出し、大企業同士で大きな産業の枠組みを作り、そこにスタートアップに入ってもらってエコシステムを回す。そうしたダイナミズムが今、日本には必要です。

新たな産業と「大企業主導型のユニコーン」創出への覚悟
梶川:最後に、今後新規事業を進めるリーダーの皆様へメッセージをお願いします。
藤本:クローズドイノベーションから脱却し、本当のオープンイノベーションを実践しましょう。競合と組みにくい事情があったとしても、クロスセクターであれば一緒にできることはたくさんあります。どんどん外へ出て、私たちとも一緒に事業を、そして産業を創っていければと思います。
中馬:過去の「失われた30年」の反省をしている暇はありません。AIという新しいイノベーションは、デジタル領域だけでなく、日本の大企業が圧倒的に強い製造現場やリアルアセットの領域にも波及します。これは、日本ならではの「大企業主導型のユニコーン」を生み出す絶好のチャンスです。環境のモードチェンジに適応し、新しいやり方でチャレンジを続けてください。一緒に新しい産業を創りましょう。




