「人的資本×AI資本」の最適配分──永続的な組織アセットの構築と価値創造の加速
日置:「人的資本×AI資本の最適配分」というコンセプトは、今後の企業経営における人材とテクノロジーの関係性を解き明かす非常に示唆に富む概念ですね。この両資本のシナジーについて詳しく解説していただけますか。
雨宮:従来の企業経営は、ヒト・モノ・カネの中でも「人的資本(Human Capital)」に依存していました。人的資本は「0から1を生み出す変革の創造」を担い、意思を持った決断や現実を動かす行動、最終的な判断と責任を負います。しかし、人間には異動や退職によるノウハウの属人化というリスクも常につきまといます。
そこに登場するのが「AI資本(AI Capital)」です。AI資本は24時間・同時並行で自律的に業務を遂行し、「1から無限大(∞)へと変革を加速・スケール」させます。人間がゼロイチで創出したナレッジやプロセスをAIエージェントに蓄積していくことで、組織の真のアセット(資産)として永続的に溜まっていきます。これからのCFOや経営陣には、この「人的資本」と「AI資本」への投資バランスを最適配分する視点が不可欠になります。
変革に挑む次世代リーダーへ──「AIを使いこなす人」への進化と“事業感”の重要性
日置:AIがコーポレート業務を代替していく中で、現場で働く「人」の役割やキャリアはどのように変化していくのでしょうか。経営企画や財務、DX推進を担うリーダーたちへのメッセージも含めてお聞かせください。
雨宮:決算や制度対応といった定型的な業務、あるいはデータの集計・可視化作業はAIによって劇的に効率化・自動化されていきます。しかし、それによって人の価値が下がるわけではありません。定型業務から解放されることで、人間はM&Aの統合プロセス(PMI)や事業戦略の立案など、高度で非定型な価値創造にリソースを集中できるようになります。
特に「事業側の現場感覚(事業感)」を持っている人がAIという強力な武器を手にしたとき、その分析や提案の鋭さは圧倒的なものになります。FP&Aも単なる数字の集計屋から「AIを活用して現場と一緒に数字を上げに行く存在」へと進化できます。重要なのは、現状維持に満足せず、最新技術を貪欲に取り入れて自らの働き方を変革する「クライアント0」のマインドを持つことです。テクノロジーの進化を恐れるのではなく、AIを使いこなすパートナーへと自らを進化させていっていただきたいと思います。
日置:まだまだお聞きしたいことがありますが、続きは10月8日にオンラインで開催する「Biz/Zine Day 2026 Autumn」に深掘りした議論を展開させていただければと思います。ありがとうございました。



