営業・パブリックで培った視点からコーポレート全体の変革へ
日置圭介氏(以下、日置):雨宮さんは1991年に入社された後、現場の営業職や金融システム領域、パブリック領域など事業側で長年にわたり大規模プロジェクトをリードされてきました。財務・経理プロパーではない雨宮さんがCFOおよびコーポレート全体の責任者に就任された背景や、そのご経験がどう活かされているかお聞かせください。
雨宮邦和氏(以下、雨宮):私は入社後、本社の営業スタッフを経て、多様な業種を担当したく自ら希望して山口支店に赴任しました。その後、約16年間にわたり金融システム領域を担当し、直近までパブリックBU(ビジネスユニット)のトップとして中央省庁や行政のDX、マイナンバー関連事業などを率いてきました。前任の藤川(藤川修氏)も金融出身ですし、社長の森田(森田隆之氏)もM&Aなどのバックグラウンドを持っています。私自身も純粋な財務・経理畑の出身ではありません。
今回、副社長 兼 CFO(最高財務責任者)としてコーポレート部門の統括を任された背景には、経営陣から「事業の現場視点と変革の感覚を持って、全社をより広い視野でドライブしてほしい」という意図があるのだと感じています。現在では財務・経理だけでなく、コーポレート機能全体を管轄しています。優秀な部下やスタッフに恵まれているからこそ、私は全体の統括やAI活用による高度化などの変革推進に注力できています。
1991年NEC入社。国内支店での営業職を経て、17年間にわたり金融システム領域に携わり大規模プロジェクトを成功に導く。2019年執行役員就任。中央省庁・パブリック領域のビジネスをリードし、マイナンバー関連や行政DXを推進。2026年4月より現職。コーポレート機能全体の責任者として企業価値向上とAI活用による高度化を牽引する。
目標は営業利益倍増──「2030中期経営計画」とキャピタルアロケーションの真意
日置:2026年5月に発表された「2030中期経営計画」では、Non-GAAP営業利益率20%程度や利益の倍増など、非常に高い目標が掲げられています。この新中計の戦略的要点とキャピタルアロケーション(資本配分)の考え方について伺えますか。
雨宮:2025中期経営計画での過去最高益達成を経て、今回の2030中計はこれまでのターンアラウンド(事業再生)のフェーズから完全な「成長」のフェーズへと舵を切るものです。Non-GAAP営業利益を2025年度比で倍増させるという非常に高い目標を設定しています。
戦略の柱は、AIの社会実装を中心とする「ITサービス」と、新たな安全保障の技術実装を中心とする「社会インフラ」の2軸です。従来のSIer(システムインテグレーター)から、自社がゼロ番目の顧客として最先端技術を徹底活用する「クライアント0(ゼロ)」のスタンスへ転換し、構築(SI)だけでなく上流のコンサルティングから下流の運用(オペレーション)までEnd to Endで顧客価値にコミットするビジネスへ移行します。
成長投資についても、2030年度末までに最大1.2兆〜1.3兆円規模の成長投資余力を想定しており、高値掴みをしない厳しい投資基準(Cash ROIC評価など)と規律を持ちながら、積極的なM&Aや成長領域への資本投下を行っていきます。



