リーダーに必要なスキルは何か?
BeはInspire、KnowはEducate、DoはTrainでそれぞれ養成する。人のBeが確立されれば、直面するさまざまな状況のなかで、リーダーとしての適切な判断と行動が可能となる。しかし、Knowは常に新たにして、Doは常に訓練し続けなければならない。
ウエストポイントのKnowというのは、単なる知識ではなく、実行力(スキル)のことを指します。自らが大事にする価値を知り、リーダーとしての特徴が身についていたとしても、実行力がないことによって、いとも簡単に信頼が崩れてしまいます。では、どのようなスキルが必要なのでしょうか。ご参考まで、ウエストポイントで定義している重要スキルをご紹介しましょう。
・対人的スキル(Interpersonal Skills)
コーチング、教育、カウンセリング、動機づけ、エンパワーメント、チーム作りなどの人に対するスキルのことです。目的に応じて、必要なスキルは少しずつ異なりますが、相手の意図や期待やニーズを正しく理解し、自らの意見や思いや事実を正しく効果的に伝えるコミュニケーションスキルであると言ってよいでしょう。
・概念的スキル(Conceptual Skills)
判断の大本となる思考に関するスキルです。創造思考、分析思考、クリティカルシンキング、論理思考など、いくつかのカギとなる思考アプローチを使いながら、本質的な問題をとらえ、解決策のコンセプトを生み出すスキルです。
・技術的スキル(Technical Skills)
業務推進に必要とされる技術スキルです。戦闘中であれば、テントの設営をしたり、兵器を利用するためのスキルがあてはまります。ビジネスシーンであれば、プレゼンスキル、英語スキル、PCスキルなどがあてはまるでしょう。
・戦術的スキル(Tactical Skill)
任務を達成するために必要な戦術スキルです。調達、交渉、予算策定などに関わるスキルがあてはまります。ビジネスシーンであれば、プロジェクト・マネジメントのスキルに近いと思います。
基本的には、士官候補生に対して教育するスキルなのですが、驚くほど我々のビジネス環境にもあてはまることがわかると思います。
こうしたスキルを持っているかどうかは、特に戦闘状況では、生死に関わります。ビジネスで、そこまでの状況にはなりにくいですが、スキルというのがいかに重要であるか、ということを感じていただけるのではないかと思います。
「生きるか死ぬかの極限的状況で兵士たちが求めるリーダー」というウエストポイントの研究によれば、求められるのは、「危険を共有し、高い実行力(Competence)を持つリーダー」であり、それによってリーダーは兵士たちの「信頼」(Trust)を獲得するという事実です。
リーダーの必須要件の上位にくるものは、「出来る」(Competent)であり、信頼とは、人々から「稼ぎ出す」(Earn)ものです。
素晴らしいビジョンを示しても、実際にそこにみんなを連れて行く実行力(スキル)がない人間はリーダーとして認められないのです。