リカルド・セムラー『奇跡の経営』に理想の会社像を見出す
自分ひとりのためだったら、友達の人生を変えてまで会社をやる必要はない。じゃあ会社の本分とは何だろうと、模索しながらいろいろな本を読んでいた時、リカルド・セムラーの『奇跡の経営』に出会って「これだ!」と感じました。具体的な方法は書いていないのですが、企業としての理想像がここにあるような気がしたんですね。
読書は好きですし、父が製造業だったこともあって、稲盛さんや松下さんの経営の本などを結構読んでいましたが、『奇跡の経営』はそういうものとは全然違うという印象を受けました。それまで読んでいたものに多かった「自分を磨く」とか「律する」といった厳しい話は全然なくて、ただ単に「良いものは良いと言い合える土壌をいかに作るか」ということに終始しているんです。僕もそういう会社を作りたい。ビジネスモデル云々じゃなくて、まずはそういう会社を作って、それから何で貢献していくか考えよう、そう決めて作ったのがダイヤモンドメディアです。だから理想像は当初から明確にあったんですよ。理想的な状態をどう実現し、組織が大きくなっても維持できるかを8年間試行錯誤してきたという感じです。
和波:
「理想的な状態」というのは、具体的にはどういうことですか?