SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

おすすめのイベント

おすすめの講座

共創し学習する新しい組織論

起業の失敗から壁に直面した時、「ホラクラシ―」に出会い、“全員参加経営”を模索する

ダイヤモンドメディア 武井浩三氏 × Lean Startup Japan 和波俊久氏 対談第1回

  • Facebook
  • X
  • Pocket

 米ザッポスが導入したことでも注目度が高まっている「ホラクラシー」。その思想に通じる経営手法を2007年の創立以来実践し、確立してきたのがダイヤモンドメディア株式会社だ。創業者である武井浩三代表取締役に、Lean Startup Japan代表の和波俊久氏がインタビューした。前編では、今までにない形態の組織を作った経緯と、「管理しない経営」にたどり着くまでの紆余曲折を紹介する。

  • Facebook
  • X
  • Pocket

起業の失敗経験が気づかせた「会社の本分」

和波(Lean Startup Japan LLC 代表社員 プロセスコンサルタント):
 武井さんは今の会社が2度目の起業なんですよね。

武井(ダイヤモンドメディア株式会社 代表取締役 共同創業者):
 はい。ダイヤモンドメディアは2007年創業で、その前に別の会社を1年で潰しています。

和波:
 最初の会社を始めたきっかけは?

武井:
 僕は子どもの頃からミュージシャンになりたいと思っていて、ロサンゼルスの大学に留学し、音楽学部を卒業しました。その留学中、自分の職業観が変わるきっかけがありまして。周りの友達が、まだ若いのに自分でビジネスをやっていたんですよ。例えば車が好きだから壊れた車を仕入れて直して売ったり、友達がやっているリサイクルショップに物を卸したり、友達関係や生活の延長線上でビジネスをやっているんですね。「ビジネスってそんなに簡単に始められるものなんだ」と衝撃を受けて、「仕事を始めるならまずは会社に就職しなければいけない」という思い込みがなくなりました。それで21歳で帰国後、ミュージシャンを目指しながら、バイトするくらいなら起業しちゃおうと、友達を3人誘って会社を作りました。

和波:
 なるほど。どんな事業だったんですか?

武井:
 ファッション系のCGMメディア事業です。当時はライブドアショックの後で、僕くらいの世代の起業家はITバブルを知らないんですよ。だからITに夢を馳せて、ということではなく、現実的に可能性のあるビジネスとしてITを選びました。
 ファッションは今後ECが伸展する。そうなると、商品単位での検索や販売が伸びてくると予想できました。でも、世の中にあるファッションのお店のほとんどは、商品のセレクションやマーチャンダイズによる付加価値がビジネスのコアにあるので、商品単体ではなくお店の価値を拾い上げてあげるようなメディアがあったら面白いんじゃないか――、そう考えてやってみたんですが、全然ダメでした。

和波:
 面白いアイデアですけどね。

武井:
 僕らにビジネスの経験がなくて下手だったというのもあるし、まだそこまでのニーズもなかったというのもあります。
 結局1年かけて失敗して、M&Aで売却したので借金だけは返せましたが、僕らに残ったのは経験だけ。この時に、僕はものすごく責任を感じたんです。一緒にやったのは高校時代からの友達で、ひとりは大学を、もうひとりは大企業を辞めて手伝ってくれて、しかも1年間極貧生活でした。単なるビジネス・パートナーであれば自己責任と割り切れますが、彼らは僕が誘ったからそういう判断をしたので、僕はどう責任を取ったらいいのかと……。
 その時に初めて、金を稼ぐとか世の中に何かを提供するといった野心的なことではなく、なぜビジネスをするのか、特に、どうして会社というものが存在するのかということについて、すごく考えたんです。

武井 浩三武井 浩三 氏(ダイヤモンドメディア株式会社 代表取締役/創業者)

会員登録無料すると、続きをお読みいただけます

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

次のページ
リカルド・セムラー『奇跡の経営』に理想の会社像を見出す

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
共創し学習する新しい組織論連載記事一覧

もっと読む

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

  • Facebook
  • X
  • Pocket

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング