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【出張版】スタートアップの時代の終焉

「社会的インパクト投資」とプロジェクト―次のスタートアップのパーティー会場

第4回:次のスタートアップのパーティー会場を探して(後編)

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本当にスタートアップでやるべきか

 もちろん、すでに共通認識のある大きな社会的課題そのものに、スタートアップという極小の資源しかない組織が直接アプローチするのは余り良い道だとは思えません。

 大きな社会的問題の解決は国や自治体の役目であることも多いでしょうし、あるいはNPOという形態を取ったほうがより目的を簡単に達成できるかもしれません。スタートアップはあくまで手段の一つであり、スタートアップを始めるときというのは、特定の問題に対して強い思いを持ち、スタートアップを始める方法でしかその問題を解決できない、というときのみである、とSam Altmanは述べていますが、取り組もうとしている課題が果たしてスタートアップでしか解決できないのかを考える必要はありそうです。

 また多くの問題は解決されずに残っている相応の理由があるので、最も尊敬されているVCの一つであるSequoia Capitalがよく問うと言われている、「スタートアップのWhy Nowの問い」に答える必要も出てきます。

 それに課題そのものについても疑いを持つ必要があると思います。ITやインターネットが出てきた当初も、社会には情報流通の問題がある、と感じていた人はごく僅かだったのではないでしょうか。殆どの人が、紙でやり取りをするのが当然と思っていて問題とは感じていなかったり、あるいは解決するのは不可能だと信じていたのではないかと推測します。

 しかしそれは解決できる課題で、一大産業をつくり上げることが出来ました。だから、まだ誰もが課題だとは思っていない名状しがたい課題を見つけること、Peter Thiel的に言えば「秘密」を見つけることがスタートアップが社会的インパクトを出すためには重要ではないかと思います。

 実際に、利益をどうやって出すか全くわからない、大学生のストーキングツールとして始まったFacebookが、実は世界中の「つながりたい」という課題を解決することができ、今や世界中の人々をつなげるだけでなく世界中にインターネットを張り巡らせて世界をより良くしていこうとしている様を見るに、そうした社会問題の解決はスタートアップにも可能なのだと(ある種の楽観性をもって)信じさせてくれます。

 そしてそうした隠れた課題への解決策は、実はエネルギーや貧困といった大きな課題に貢献できる解決策で、最終的に大きな課題を解決できるのかも知れません。そんな隠れた課題を先に見つけて、ハードなテクノロジや、今はまだおもちゃのようなもので解決しつつ、利潤を得ていくことが次のスタートアップのムーブメントを牽引していくのではないかとすら思えます。

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この記事の著者

馬田 隆明(ウマダ タカアキ)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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