企業にいる優秀な内部を「異質化」する
自己中環境を作るために企業ができることのもう一つは、外部を取り込むことの逆、「内部の異質化」である。つまり、社内で今後高い影響力を持つだろうと思われる人材を選ぶ、または、積極的に手を挙げた人材を抜擢し、海外でも多様性に溢れたところに放り込む。ワークショップや共同作業で数週間のまとまった時間を外部と過ごすことも、担当者の経験値や当該プロジェクトの成果のためには非常に有益だが、数週間での異質化は難しい。
少なくとも半年、可能であれば数年間という期間を費やし、自己中環境で仕事と生活をさせる。自己中の集団に囲まれ、文化や価値観の違いに戸惑い、日本ではありえないような失敗をしながら、なんとか自分の立ち位置を見つけるために考え行動する。そういう形での人材育成が、今後の日本企業のクリエイティブチームとって超重要だと考える。なぜなら、そうした経験をしたクリエイティブは、違う価値観を持つ人材とコミュニケーションがとれる論理力や柔軟性がつき、それと同様に重要な点として、外に頼れる仲間が出来る。何かあったときに、さっと協力してくれる外部がいるかいないかが、今後のクリエイティブチームにとっての生命線となる。