『知識創造企業』で描かれた経営とホラクラシーの共通点
宇田川:
かつて野中郁次郎さんが『知識創造企業』という本に書かれたのは、70年代終わりから80年代にかけての、日本的経営が良かった時代のことでした。あの時期は、組織の中でみんながカバーしあって、文字通りのコラボレーションができていたわけです。
90年代になってそれが機能しなくなったのは、バブルが弾けて競争力がガクンと落ち込んだときに、「今まで“なあなあ”でやってきたのがいけなかった。これからはきっちりやらないとダメだ」と、どんどん形式化が進んでいったことに一因があります。確かに過去の組織には“なあなあ”な部分があって、それは頑張った人にちゃんと報酬で報いていなかったというところだったんですね。でも、「がんばったら、みんなに尊敬される」という別の次元での評価で報われていたんです。これが、バブル崩壊後に形式化していく中で、全部ぶっ壊れてしまった。そうなると、自分の役割をはみ出して仕事をしようとしなくなっていくのは当然です。
そう考えると、大事なのは、やったことが報われるということがきちんと機能するような組織にしていくことなんですよね。
武井:
そう思います。