GE、IBM、コマツ――IoTに挑むメガ企業がサブスクリプションを採用
IoT(モノのインターネット)の可能性として語られるのは、様々なデバイスやセンサーから得られるデータを分析、活用することだ。大量かつ自動的に収集された第三者に提供、販売するビジネスモデルも登場してきている。IoTで集まるデータを販売する場合、センサーでデータを収集したデータをそれぞれの単位で値段をつけて販売するわけではなく、月額の定額制や従量課金という方式がとられる。さらにベーシックプランに上位のプランを設けてアップグレードするという風に、サブスクリプションモデルで収益化するというビジネスモデルが出てくる。
IoTというと製造業のセンサーネットワークと販売や生産の最適化のシナリオが語られるが、欧米企業では収集したデータを「新しい収益源」と見みなし、事業化を計ることに前向きだ。たとえばGEは旅客機のエンジンにセンサーを付けてリアルタイムに分析し、運行中のトラブルの発生箇所などを着陸前に知ることができるようにしている。さらに飛行ルートを最適化することにより、燃費を節約できるサービスも提供中だ。これらを従量課金、成功報酬型にすることで、IoTによるサブスクリプション・ビジネスを収益化している。
そのGEが、IoTにより設備や機器から最大限に引き出すためのプラットフォームとして自社開発したのが「Predix」だ。そこにZuoraが採用されている。GEは「2020年までにソフトウェアで世界のトップ10入りする目標を掲げ、東海岸でも大量のエンジニアを採用し、デジタル・トランスフォーメーションを行っている最中だ。
IBMも同様の戦略転換をおこなっている。IBMは従来の汎用機などのコンピュータのプロダクト販売モデルやITソリューションの提供から移行する中で、ここ数年は業績的にも非常に苦しい状況が続いてきた。現在は、クラウドや人工知能(AI)であるWatsonによるビジネスモデルで収益化を図ろうとしている。いずれもサブスクリプションで、IBMもそこでZuoraを採用している。
国内ではコマツが現場のソリューションを提供している。ドローンを飛行させ測量したデータを三次元化し、シミュレーションしたデータを活用し、若い人でも熟練工と同じように建設機械で工事ができる、というものだ。ここでもやはりZuoraが使われている。
さらに東芝もIoTとZuoraで「モノ」ビジネスから「モノ+こと」ビジネスへの転換をするために組織を立ち上げ、大きな変革を始めているところだ。