戦略が模倣される時代には「組織の実行力」が競争優位の源泉となる
皆さんは「営業」と聞くとどのような印象を抱くだろうか?
数字(ノルマ)のプレッシャーがきつい、残業も多く業務時間が長い、キャリアの広がりが見えない…など、営業職に対してネガティブな印象を抱く人も多いのではないだろうか。
実際、彼らを取り巻く状況は厳しい。事業環境の変化が激しい昨今、売上責任を担う営業部門に対する会社からの期待は大きい。一方で未だに営業現場では属人化による非効率が改善されず、売上の多くをトップ営業頼みで上げている状態。そのトップ営業でさえ、従来通りのやり方では思うように売上が上がらなくなってきている。
しかしながら、このような状況においても勝ち続けている営業組織は確かに存在する。苦戦する営業組織も少なくない中で、その差はどこにあるのだろうか。
私は企業の強さはシンプルに捉えると「戦略の秀逸さ」×「組織の実行力」だと考えている。これは営業組織に限った話ではないが、営業だとそれがより分かりやすい。そして、持続的な競争優位性という観点から考えると、「組織の実行力」は非常に重要である。それは模倣の困難度の違いとしてあらわれるからだ。
言ってしまえば、戦略は真似することができる。良い戦略、良いビジネスモデルはどんどん競合他社も取り入れるだろう。しかし、実行力は簡単には手に入らない。M&Aなどショートカットする方法はあるだろうが、それでも手間と時間を掛けて創り上げていかねば、本当の意味での「組織の実行力」は手に入らない。組織のことを後回しにすると、後で痛い目を見ることになる。どんなに優れた営業戦略も営業戦術も、それを実行しきる力が無ければ絵に描いた餅で終わる。仮に上手くいったとしても一過性のものになるだろう。