反転授業の先駆者アーロン・サムズ セミナー講演録

「学習者中心・興味重視」教育への移行

[公開日]

[取材・構成] 有須 晶子 [編] BizZine編集部

[タグ] タレントマネジメント スマートデバイス

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

反転授業で大切なのは、ビデオ教材ではなく授業時間の使い方

 私は授業でスライドショーを頻繁に使うので、それに自分の声を入れて生徒が家で見られるビデオを作りたいと考え、それが手軽にできるソフトを探しました。しだいに、画面の端に顔が出るようにしたり、手書き文字を入れたりできるようになりました。30分の講義は要点を絞れば約15分のビデオにまとめられることも分かってきました。

 授業の前に生徒がビデオで自宅学習できるようにし、教室では学習内容の実践時間を大幅に増やしました。反転授業のメリットは、教室では内容伝達をしなくてよくなることです。ほんとうの教育的効果は、ビデオではなく、教室のほうに現れます。

自宅でビデオ学習、学校では実践▲ 自宅でビデオ学習、学校では実践

 授業は、家で見てきたビデオに関する質問などに答える時間にします。この方法にしてから、以前より教える量が増えました。講義をする代わりに、教室内を歩き回って一人ひとりの生徒を肩越しに見ながら、彼らが必要なときに必要なことを教えるからです。

 現代では、多くの情報がネットにあふれています。私の場合、情報を得るためにどこかに行くという気があまりしなくなりました。情報はポケットの中にあって、いつでも取り出せます。このようにつながった世界では、先生が生徒に教える方法も根本的に変わってくるのです。教師の役割は、情報の伝達者から、学びのファシリテーターへと変わっていくべきでしょう。反転授業は、その移行を実現するためのツールの1つなのです。

 私たちは、情報を伝えるだけなら教師はその場にいる必要はない、むしろいないほうがいいくらいだと気づきました。ビデオなら、生徒は先生を止めたり、巻き戻したり、早送りしたりできます。このように、進み具合を生徒が自分でコントロールできるようになって、とても助かりました。

 ただし、気をつけたいのは、肝心なのはビデオではないという点です。ビデオは有用なツールですが、より重要なのは「生徒たちと一緒にいる時間を以前よりうまく使えるかどうか」です。

 反転授業を導入してから、生徒たちは多くの内容を短い時間で学び、授業時間内に課題を終わらせることもできるようになりました。記憶や理解の部分は授業から取り除き、個別に学習する。そうすると、授業時間に余裕ができ、何か新しいプロジェクトに取り組むなど、生徒たちはより高いレベルに進めるようになります。

 教師の役割は、講師時代よりずっと重要になります。教室を単なる情報伝達の場ではない、もっと参加型の、もっと面白い場とするためにはどんな改革ができるかをよく考えましょう。

バックナンバー