「シックス・シグマの文化」から「Fast Worksの文化」へと導く、語り部としてリーダーの役割
藤本(一般社団法人at Will Work 代表理事 / お金のデザイン シニア・コミュニケーションズマネージャー):
働き方の話をするときにすごく盛り上がるのが、失敗をどう定義するかという話です。メルカリさんの場合はどう考えていますか?
小泉(株式会社メルカリ 社長 兼 COO):
不可逆なものかどうか、ということじゃないですか。戻せないものは当然慎重にやらなければいけないですが、戻せるものはダメなら戻せばいいので、どんどんやっちゃおうという感じですね。手数の多さが大事なので、まずはやってみようという姿勢です。
藤本:
なるほど。GEさんにおいては、失敗を怖がらずにチャレンジする文化を作るために、どんなことをされていますか?
谷本(GEジャパン株式会社 執行役員 人事部長):
今回バリューを新しいものに置き換えたときに(第1回の記事参照)、そこがすごく大きな特徴だったんですよ。正直言って、社内で「失敗」という言葉を使うようになったのは、これが初めてです。それまでは「シックス・シグマ」のカルチャーで、むしろ失敗をなくそう、完璧に近い状態までもっていこう、というバリューの中で生きてきたので、失敗だと言っていい、早く失敗だと認めることで新しく学んで次に行こう、というのはとても新しい考え方でした。
これを浸透させるために、例えば、リーダーの皆さんからは「過去にこんな間違った判断をしたけれども、そこからこんなことを学んだ」というストーリーを共有してもらったりしています。上の人からそういう態度を見せないと、下の人は絶対言えないですからね。
藤本:
そういう風に変えなければいけないと考えた背景には、何があったのでしょう?
谷本:
世の中の環境の変化に伴うお客様のニーズの多様化がありますし、競争相手も今までの競合他社ではない新しいところから出てくるかもしれない、全然先が読めなくなってきているわけですよね。そんな中、GEとしてはハードウェアを売るだけでなく、ソフトウェアを融合した新しいサービスを展開していきたいと考えていて、そんな時に常に慎重にやっていたら、スピードが遅くなってしまいます。もっとスピードを上げていくために、多少失敗をしてもいいので、まずは1回試してみて、早くお客さんのニーズを掴み取ろうという、そういうマインドを身につけようとしているんです