人間を特別に協力的な動物へと進化させた「助け合い」のメカニズム
数理生物学者で協力的行動の進化研究の第一人者であるマーティン・ノワックは、人間の協力について『サイエンティフィック・アメリカン(SCIENTIFIC AMERICAN)』の記事【Martin A. Nowak「Why We Help」(SCIENTIFIC AMERICAN July 2012)】で以下のように述べている。
生きるということは単なる生存競争ではなく、生きるために寄り添う“ 生存協力 ”でもあるといえるだろう。そして、協力の進化的影響が人間ほど顕著に見られる生き物はほかにない。
彼は20年間以上も、「ゲーム理論」によって、競争と協力の一見二律背反しそうな関係が、共に生物の進化に重要な影響を及ぼしてきたことを明らかにした。そして、どうして人間が特別に協力する力を進化させることができたかについて理解するための重要な示唆を、彼の研究は与えてくれる。