オープン化するSECIモデル──社外の形式知を内面化してイノベーションを起こしていく
このようにジョブ理論はさまざまな場面でビジネスのイノベーションに使える。わかりやすさのためにB2Cの事例ばかり紹介したが、ジョブ理論はB2Bでも有効だと津田氏は語った。
最後に津田氏は、ジョブ理論から離れて野中郁次郎氏のSECIモデルを引きながらこう話した。
SECIとは、共同化 (Socialization)、表出化 (Externalization)、結合化 (Combination)、内面化 (Internalization)の頭文字を取った言葉である。上記の図は、組織における知恵・知識がどのように組織内で成長していくかを示し、この過程をぐるぐると回ることでスパイラル状に高まってイノベーションが起きると野中教授は示している。
津田氏は、今、このSECIモデルがオープン化していると指摘する。オープンイノベーションの流行により、社外パートナーの形式知を取り入れる風潮が強まっているという。しかし、最初からうまくいくわけではないので、じっくりと形式知を消化、上達することで内面化することも大切だと指摘した。結果が出れば共同化による水平展開を得意としている組織が多いが、次のサイクルとして顧客の暗黙知を言語化し、形式化するところも課題だという。今回の講演もジョブ理論を活用することで顧客の暗黙知を形式知化する一助となれたらうれしい、と津田氏は語り、講演を締めくくった。