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「顧客のジョブ」から考えるイノベーション

「機会マップ」と「ニーズベースのセグメンテーション」を活用した、5つのプロダクトサービス戦略とは?

「顧客のジョブ」から考えるイノベーション:第6回

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“最も優先度の高いニーズ”に焦点を絞り込めば、イノベーションの成功確率は向上する

最も不満をもっている顧客は、最も優れた学習の源泉である(ビル・ゲイツ)

 イノベーションプロセスのステージをもう1度振り返ってみましょう。

 1つ目のステージ「定義する」においては、顧客のジョブをベースに対象とする市場を定義するとともに、市場のサイズを推定する方法についてご説明してきました。2つ目のステージ「理解する」においては、顧客との交流を通じて、顧客のジョブをステップバイステップのプロセスに分解し、市場における全ての普遍的(将来においても安定している)なニーズ(望ましい成果)を、明瞭性をもつ行動可能かつ測定可能なステートメントで整理する方法についてご説明してきました。

 3つ目のステージ「発見する」は、収集されたニーズの定量化、ニーズによる市場セグメンテーション、プロダクト/サービス戦略の方向づけという3つの主要なステップから構成されます(図3)。「理解する」ステージが発散ステージ(市場における全てのニーズを収集する)であるとすれば、「発見する」ステージは収束ステージ(最も優先度の高いニーズに焦点を絞り込む)といえるでしょう。

イノベーションプロセスの4つのステージ(図1)イノベーションプロセスの4つのステージ

 この「発見する」ステージにおける主要な目的は4つあります。

■ジョブをより上手く成し遂げるために役立つ機会を発見する – これは、特定のニーズが非常に重要ではあるが、現在のジョブ履行方法(現在使っているプロダクト/サービスを含む)で十分に満足していない母集団を発見すると同時に、どのような特徴(市場全体における割合を含む)をその母集団がもっているかを発見することを目的とします。

■ジョブをより安く成し遂げるために役立つ機会を発見する – これは、特定のニーズがほとんど重要ではないが、現在のジョブ履行方法(現在使っているプロダクト/サービスを含む)で過剰に満足している母集団を発見すると同時に、どのような特徴(市場全体における割合を含む)をその母集団がもっているかを発見することを目的とします。

■各々のニーズの優先度を定量化する – これは、ジョブをより上手く/より安く成し遂げることに対する最も大きな機会が各々のニーズが特定の母集団にとってどれくらい充足されているか/充足されていないかの度合いを知るとともに、その優先度を定量化することによって明らかにすることを目的とします。

■プロダクト/サービス戦略の方向づけをする – 適切なプロダクト/サービス戦略は、市場全体および特定の母集団におけるニーズの充足度によって方向づけされるべきです。これは、過剰に充足されているニーズに対してさらなる機能を追加する過ちを犯すことを防ぐだけでなく、競合/代替プロダクト/サービスの強み/弱みを分析することに役立ちます。

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この記事の著者

白井 和康(シライ カズヤス)

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