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ビジネスデザイナーに求められる「失敗のデザイン」と「一点突破」。その実践的で泥臭い方法とは?

Business Design Talk Vol.01 ゲスト:QUANTUM井上裕太氏【後編】

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 2018年9月6日に開催された「Business Design Talk vol.01」。レポート前編はQUANTUM井上裕太氏によるプレゼンテーション内容をお届けした。既存事業を維持するという組織の特性上、新規事業をスムーズに進めにくい大企業で、イノベーションの種を育てる秘訣について共有した。後編となる本稿では、井上氏に主催のTakram佐々木氏と博報堂岩嵜氏が加わり進行した、来場者との質疑応答の内容をお届けする。ビジネスデザイナーの実践的で泥臭くもある取り組みの数々をお伝えする。

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QUANTUM井上氏が語る、新規事業の「撤退基準」とは

質問1:年間何十件もの新規事業にリスクを取って信じ企業に携わる際に、お金はどうしていますか? また、撤退基準についても教えていただければと思います。

井上裕太氏(以下、敬称略): 質問の中身は二つですね。1つ目は「お金」に関すること。幾つかのポイントがありますが、一番重要なのは「自分たちがどこで稼ぐかをはっきり決める」ということです。例えば、QUANTUMは、5年間の協働プロジェクトで収益を50億円にして、そのうちの10%で5億円を請求するということは、あまりやりません。どちらかというと、立ち上げ初期にググッとアクセルを踏む所までを支援し、その時点で利益確定をするというモデルです。ですから、良い場合もダメな場合も、ある程度短期で成果が出るので、ある程度コントロールはしやすいのです。

2つ目の質問は「撤退基準」についてですね。全事業に対して普遍的に通用する撤退基準はあまりないものの、撤退基準は案件ごとに明確に決めています。それは、パートナーである大企業にとっても非常に大事なことですから。よくやるのは、いくつか設けたゲートごとに撤退基準を決めるやり方です。

例えばプロトタイプを作って、ユーザーと対話して、フィードバックをもらう所までを、「ゲート1」とします。その反応が良ければ「ゲート2」に進みますが、ここでもし全然違うと思ったら、ピボットするのもやめて撤退します。ゲート2では、例えばある一部の人に売ってみる、ゲート3はローンチする、みたいな感じです。そして、それぞれのゲートで、「こうだったらやめましょう」という撤退基準を決めます。他には、オーナーシップのある人をパートナー内で見つけられないと判断したら撤退することもあります。


井上 裕太井上 裕太氏(QUANTUM CSO/QUANTUM GLOBAL CEO/九州大学 准教授)
QUANTUM創業に参画し、大企業やスタートアップとの共同事業開発をリードしている。博報堂ではマーケティングプロジェクトの戦略立案を担当。九州大学芸術工学部の産学連携、ACC賞クリエイティブ・イノベーション部門の立ち上げやグッドデザイン賞審査委員の活動を通してクリエイティブ産業の活性化にも取り組む。また、夫婦でリゾートライフスタイルブランド「KRAS」を営む。
QUANTUM参画以前は、マッキンゼーで日米欧におけるコンサルティングに従事後、被災した若者のリーダーシップ育成を支援する財団法人設立を経て独立。大企業やスタートアップの経営改革と新規事業開発を支援。並行して『WIRED』日本版の特派員としてY Combinatorなどを取材するともに、文科省初の官民協働プロジェクト「トビタテ!留学JAPAN日本代表プログラム」を共同発起した。

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