カスタマーサクセスにおいて重要な“顧客の健康状態”の管理
果たしてお客様は、日々サービスを使ってくださっているのだろうか?
これはサービス提供者であれば気になる問いでしょう。SaaSのサービスはアクセスのログを取ることができるので、お客様がどれくらいの頻度でどの機能を利用しているかを容易に確認することができます。
SaaSの黎明期、アクセスログはそのサービスの人気度や顧客の利用頻度を測るバロメーターでした。しかし、SaaSにサブスクリプションモデルが取り入れられていくにつれて、アクセスログは顧客の健康状態を計測する手段としても活用されるようになりました。現在はそれがさらに発展し、アクセスログなどサービスから直接取得できる数値だけではなく、アンケートサービスを使って顧客のサービス満足度を計測したり、顧客との親密度をカスタマーサクセスマネジャー(CSM)が定性的に判断したりするなど、さまざまな手法で顧客の健康状態を把握する手法が考案されています。
カスタマーサクセスの世界では、この顧客の健康状態を表現する数値群を「ヘルススコア」と呼びます。ヘルススコアは顧客の健康状態を把握できる数値なので、上手く使えばチャーン(解約)予備軍を洗い出すことができます。サブスクリプションモデルにおいては、チャーンを抑止することは非常に重要なため、それを未然に防げる可能性のあるヘルススコアの設計・実装は、カスタマーサクセス活動の最も重要なタスクの一つに位置づけられます。
ヘルススコアは「顧客が健全にサービスを利用しているか」を表す数値です。よって、しっかりと設計されたヘルススコアでは、
ヘルススコアが低い顧客=不健全な状態→チャーンの可能性が高い
と考えることができ、CSMがケアすべき顧客を判別する指標となります。
逆に言うと、ヘルススコアの設計を誤ると、本来フォローすべき顧客でない顧客をフォローしてしまい、CSMの稼働を無駄にしたり、逆にフォローすべき顧客を見逃してしまい、チャーンを招くなどの問題が発生します。そのような意味でヘルススコアは重要な役割を担っているのです。
「ヘルススコアはどう設計すればいいのですか」これは、カスタマーサクセス部門を立ち上げたばかりの方から最もよく寄せられる質問の一つです。この答えは「御社の提供しているサービスに依存します」となります。