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サブスクリプション時代の新常識

「青本」の著者ダン・スタインマン氏が語る、カスタマーサクセスの最新動向と未来予測

第10回 特別対談 ゲスト:ダン・スタインマンさん

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 2016年に『CUSTOMER SUCCESS』(邦訳版:『カスタマーサクセス――サブスクリプション時代に求められる「顧客の成功」10の原則』)を上梓し、カスタマーサクセス界のソート・リーダーとして活躍するダン・スタインマン氏。マルケト社で解約率防止を目的としてカスタマーサクセスに従事したのち、カスタマーサクセスソフトウェアの開発・提供を行うGainsight社に13人目のメンバーとして入社した経歴を持つ氏は、世界各国でカスタマーサクセスの知恵を共有するコミュニティ「Pulse」を手がけている。そのスタインマン氏に、Sansan山田ひさのり氏がカスタマーサクセスに関する疑問をぶつけた。その内容を紹介する。

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CS草創期、ダン氏はカスタマーサクセスをどのように定義していったのか

山田ひさのり氏(Sansan株式会社、以下敬称略):アメリカではサブスクリプションモデルの広がりとともに、カスタマーサクセスが多くの企業で取り入れられています。日本でも日に日に注目度は高まっていますが、カスタマーサクセスの定義が「積極的に顧客に働きかけて満足度を高め、顧客の価値を創造すること」だと聞いても、ピンと来ない人もいるようです。おそらくダンさんがアメリカでカスタマーサクセスを始めたときと同じような状況だと思うのですが、ダンさんはどのようにカスタマーサクセスの概念を開拓し、説明してきたのでしょうか。

ダン・スタインマン氏(Gainsight CCO、以下敬称略):私がやっていた顧客対応の仕事が「カスタマーサクセス」という言葉で呼ばれ始めたのは2008年あたりだったと思います。2010年にマーケティングオートメーションツールを手がけるSaaS企業のマルケト社より「解約率を下げたい」との希望を受けて入社し、カスタマーサクセスのチームを作りました。当時は、多くのSaaS企業が、セールスは好調だが解約率も高いという状況でした。

 カスタマーサクセスによってマルケトの解約率は激減し、当初600社だった顧客が1,500社以上まで増えました。規模が大きくなったのでカスタマーサクセス用のツールが必要となり、そのときにカスタマーサクセスソフトウェアの開発を依頼したのが、Gainsight社でした。その後、しばらくは顧客という立場でGainsight社とやり取りを行っていましたが、2012年にGainsight社へ移籍しました。移籍後はGainsight社の扱うカスタマーサクセスソフトウェアを広めるためにも、世界に「カスタマーサクセスが企業に必要である」こと知ってもらうべく、カスタマーサクセスという概念全体を明確にし、説明しなければなりませんでした。

山田:どのように説明したのでしょうか。

ダン:まずは、「カスタマーサポートやカスタマーサービスとはどう違うのか」という疑問を解消する必要がありました。顧客対応という点では同じですし、そこで働く人のスキルや特性に共通するところはあります。しかし、カスタマーサポート、カスタマーサービスは完全に受け身です。顧客が「ログインできなくなりました」「バグが発生しました」と連絡をしてきて、初めて行動を起こします。

 一方、カスタマーサクセスは先を見越して積極的に行動する組織です。私たちはクラウド型のソフトウェア企業なので顧客がどうやって製品を使っているかを確認できます。もし顧客が2週間ログインしていなかったら、電話して「いかがしましたか? 製品に何か問題がありましたか? 何かお手伝いできることはありますか?」と顧客の手助けをすべきなのです。つまり、カスタマーサポートやサービスはリアクティブで、カスタマーサクセスはプロアクティブ。メンタリティが違います。

 また、サポートやサービスはコストセンターと考えられています。しかし、カスタマーサクセスは収益を生み出す組織です。解約率を下げることで利益を生みますし、新しい製品を生み出す手助けをし、販売しやすくする土壌を作り出す組織でもあります

 私はカスタマーサクセスをこのように説明してきたのです。

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