なぜ「カルチャー変革」がDX成功のトリガーなのか──Googleも認める組織の心理的安全性と共創

第3回

 前回、最近頻繁にメディアに登場してはいるものの今ひとつ実態がつかみにくい「デジタル・トランスフォーメーション(以下、DX)」の意味を再考しました。また、デジタル技術の高度化と浸透がある程度進むと、検討の中心が「デジタル技術そのもの」から「顧客体験(以下、CX)」に移ることをお伝えしました。
 「CX」を全社的に検討するためには「新しい思考様式(デザイン思考)の組織全体への浸透」と、組織をまたがりながらCX起点でサービス創造を行うための土台となる「カルチャー変革」が、成否に大きく関わってきます。今回は「カルチャー変革」について述べていきたいと思います。

[公開日]

[著] 根岸 慶

[タグ] デザイン思考 組織文化 組織変革 DX デジタル・トランスフォーメーション

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そもそも誰がDXを担うのか──“デジタル化の浸透の先”にある「3つの変化の潮流」とは

 そもそも「DX」とは、誰が担うものなのでしょうか?

 今までは、いわゆる「IT」を担うのはIT部門でした。ここでいう「IT」とは主に情報インフラの構築、つまり「守りのIT」を主な対象としていました。ただ、今求められている、デジタルを通じた新規サービスの開発および既存サービスの高付加価値化、つまり「攻めのIT」には、IT部門は体制もスタンスも則していません。ここ数年の傾向として、IT部門と切り離して攻めのITを専門で担う組織として、いわゆるデジタル部門(デジタル企画部、デジタル戦略部、デジタルイノベーション部など)が、大企業を中心に急激に存在感を増しています。

 DXは実は1つの部門が担うのではなく、上記のIT部門とデジタル部門、そして様々な事業部門のそれぞれが分担して担うものになります。

DXの全体像DXの全体像

 上記は前回ご説明したDXの全体像です。最下層にある「デジタル技術(の高度化と浸透)」のうち、クラウドやモビリティ、セキュリティ等のデジタルインフラ(ハードからミドルウェアあたりまで)は、いわゆる「守りのIT」にあたるため、今後も引き続きIT部門が担うことでしょう。

 一番上にいる「人々の生活」と、そこに関連する業務領域のデジタル化は、先ほどあげた「攻めのIT」部分であり、デジタルへの取り組みが進みつつある大企業においては、主にデジタル部門と、デジタル化の波がいち早く訪れたマーケティング部門、そしてデジタル部門に背中を押されながらさまざまな事業部門が担っていく構図が徐々に出来上がりつつあります。

 デジタル技術の高度化と浸透がある程度進むと、事業部門主導でいろいろな施策がいままでより安価で素早くできるようになります。一昔前のように、取り組みごとに数億、数十億の予算を申請し、IT部門にお伺いをたてながら実施する必要が少なくなります。しかも、実際にビジネスや顧客を理解しているのは事業部門であるため、彼らがDXを主導するようになった会社は、より強力にDXを進めていくことができでしょう。

 そのことを踏まえると、「DXを誰が担うのか」という問いに対しては、今後、大きく3つの潮流があると予想しています。

  1. デジタル部門主導で引き続き新たなPoC(概念実証)を実施し、PoCから芽が出そうなものから現場を巻き込んで大きく展開していく
  2. 先進的な事業部門、もしくはデジタル部門によって背中を押された事業部門が主導的に新たな取り組みを開始する(デジタル部門がそれをサポート)
  3. 新たな取り組みが高度化し、部門間連携をしながらそれを実現していく(既存のサイロ化された組織編成ではCXに最適化されていないため)

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