サイボウズ青野氏、ガイアックス上田氏が『ティール組織』著者と語る、“弱さ”を認めるリーダーの経営変革

Teal Journey Campus セミナーレポートVol.2

 『ティール組織 ― マネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現』が日本で出版されてから1年、多くの勉強会が行なわれ、ブームになったといえる。9月14日、瞬間的なブームに終わらせるのではなく、多くの実践知を集めることでムーブメントにしようと、日本で初めてのカンファレンス「Teal Journey Campus」が開催された。
 様々なセッションが行なわれたなかで、『ティール組織』著者のフレデリック・ラルー氏、サイボウズ株式会社代表取締役社長の青野慶久氏、株式会社ガイアックス代表執行役社長の上田祐司氏の3人によるパネルディスカッションでは、自分が所属する組織をティール組織に変えていくための様々なアイデアが議論された。その内容を紹介する。

[公開日]

[講演者] 青野 慶久 上田 祐司 フレデリック・ラルー [取材・構成] フェリックス清香 [写] 和久田 知博 [編] 栗原 茂(Biz/Zine編集部)

[タグ] 組織開発 ティール組織 Purpose インテグラル理論

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サイボウズ流「ティール組織」のあり方と、きっかけとなった危機

 パネルディスカッションは、サイボウズ、ガイアックスの事業紹介とそれぞれのティール組織らしい点の紹介から始まった。

 青野氏は、サイボウズは「情報共有をする会社」だと説明する。社員一人ひとりの希望を聞いて、残業なし、副業OK、在宅勤務可能等、柔軟な勤務形態を取り入れた結果、社内メンバーのモチベーションが上がり、新しいアイデアが集まってきたと話す。

 ラルー氏は、一般的な企業とは違う所有意識・経営スタイルだが、それを決断したのはどういった背景だったかを問う。

 サイボウズ青野氏は、「業績が伸び悩み、離職率が高かった時期に自分の考え方が変わった」と話す。サイボウズは設立後3年で上場したが業績が伸び悩んだ時期があり、対策としてM&Aで9社を買収した。しかし2005年、業績は伸び悩み、離職率は28%と最悪を記録したという。青野氏は「『自分には才能がない、力がない』と思い悩み、交差点にいるときには車が1台自分に向かってきて轢いてくれないかと思うほどでした」と、当時の辛い状況を表現する。

 しかし青野氏は2006年12月にパナソニックの創業者・松下幸之助氏の「真剣」という言葉に出会う。そして、「やりたかったのは情報共有する組織や人が増えて、そこで働く人たちが幸せになる社会を作ること。それなのに、会社をどんどん成長させないといけない、という強迫観念に駆られていたのではないか」と気づいた。やりたかったことを達成するためには、手伝ってくれる仲間がいなければできないため、どうしたら手伝ってくれるかを聞こうと思ったと話す。

 とはいえ、週3日勤務がいい、副業したいなどの社員の希望を聞いて、ベンチャーなのにどうしてそんなことを考えているのかと頭にきたこともあったという。しかし、それさえ聞いたら力を貸してくれるならば、と柔軟な働き方を導入した。また9社買収した企業のうち、8社を売却して事業も整理した。すると、離職率は改善し、業績もアップしたという。

青野 慶久サイボウズ株式会社 代表取締役社長 青野 慶久氏
1971年生まれ。愛媛県今治市出身。大阪大学工学部情報システム工学科卒業後、松下電工(現・パナソニック)を経て、1997年、愛媛県松山市でサイボウズ株式会社を設立。2005年、代表取締役社長に就任(現任)。社内のワークスタイル変革を推進し離職率を7分の1に低減するとともに、3児の父として3度の育児休暇を取得。2011年から事業のクラウド化を進め、2017年にクラウド事業の売上が全体の60%を超えるまで成長。総務省、厚労省、経産省、内閣府、内閣官房の働き方変革プロジェクトの外部アドバイザーや一般社団法人コンピュータソフトウェア協会の副会長を務める。著書に『会社というモンスターが、僕たちを不幸にしているのかもしれない。』(PHP研究所)などがある。

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