サイボウズ流「ティール組織」のあり方と、きっかけとなった危機
パネルディスカッションは、サイボウズ、ガイアックスの事業紹介とそれぞれのティール組織らしい点の紹介から始まった。
青野氏は、サイボウズは「情報共有をする会社」だと説明する。社員一人ひとりの希望を聞いて、残業なし、副業OK、在宅勤務可能等、柔軟な勤務形態を取り入れた結果、社内メンバーのモチベーションが上がり、新しいアイデアが集まってきたと話す。
ラルー氏は、一般的な企業とは違う所有意識・経営スタイルだが、それを決断したのはどういった背景だったかを問う。
サイボウズ青野氏は、「業績が伸び悩み、離職率が高かった時期に自分の考え方が変わった」と話す。サイボウズは設立後3年で上場したが業績が伸び悩んだ時期があり、対策としてM&Aで9社を買収した。しかし2005年、業績は伸び悩み、離職率は28%と最悪を記録したという。青野氏は「『自分には才能がない、力がない』と思い悩み、交差点にいるときには車が1台自分に向かってきて轢いてくれないかと思うほどでした」と、当時の辛い状況を表現する。
しかし青野氏は2006年12月にパナソニックの創業者・松下幸之助氏の「真剣」という言葉に出会う。そして、「やりたかったのは情報共有する組織や人が増えて、そこで働く人たちが幸せになる社会を作ること。それなのに、会社をどんどん成長させないといけない、という強迫観念に駆られていたのではないか」と気づいた。やりたかったことを達成するためには、手伝ってくれる仲間がいなければできないため、どうしたら手伝ってくれるかを聞こうと思ったと話す。
とはいえ、週3日勤務がいい、副業したいなどの社員の希望を聞いて、ベンチャーなのにどうしてそんなことを考えているのかと頭にきたこともあったという。しかし、それさえ聞いたら力を貸してくれるならば、と柔軟な働き方を導入した。また9社買収した企業のうち、8社を売却して事業も整理した。すると、離職率は改善し、業績もアップしたという。