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経営参謀としてのCFO

経営参謀としてのCFO──バイアウトファンドが持ち込んだ「米国式経営」と進化する「CFOの役割」とは

ゲスト:バリューアップパートナー株式会社 代表取締役 大塚寿昭氏

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 日本型経営システムの崩壊により、90年代後半から導入され始めたコーポレートガバナンスに代表される米国型経営システム。その中で日本に導入されたCFO(最高財務責任者)とは、経営管理部門のトップであり、CEOの“経営参謀”として経営に責任を持つ立場ではあるが、その責任範囲や求められるスキルなどは、人や企業によってイメージするものが異なる。  「経営参謀としてCFO」は経営管理にどうコミットすべきか。シリーズ第一回目のゲストは本連載のホストであり、CFO人材の登録型人材紹介会社であるバリューアップパートナー株式会社代表取締役大塚寿昭氏に、CFOに求められる人材要件についてお話を伺っていく。

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バブル崩壊後、バイアウトファンドが持ち込んだ米国式経営

──2019年7月に編著書『CFOの履歴書』を上梓し、10名の様々な経歴を持つCFO経験者がご自身の経歴やCFOの要件を語られていますが、この編著書の出版の意図はどのあたりにあったのでしょうか。

大塚寿昭氏(バリューアップパートナー株式会社代表取締役、以下敬称略):CFOに関する書籍は世界のスーパーCFOの自伝的なものや大学の教科書のような理論系が中心。自分のキャリアの延長線上にある、現実のCFOについて書かれた本がなかったんです。そこで、CFOを身近に感じ、キャリアプランとして興味を持ってくれるような書籍を企画しました。

──CFOはそもそも、日本にはどのぐらいの時期から要職として位置づけられたのでしょうか。

大塚:30年前にはCFOという言葉は日本にはありませんでしたが、1998年前後から徐々にCFOという言葉が新聞などでも取り上げられるようになりました。

 従来の日本型経営では、いわゆる護送船団方式と株式の持ち合いの影響で、ある意味銀行を見ていれば良かったため、株主を見た経営をする必要性が今ほど高くありませんでした。

 それが、銀行の破たんをきっかけに、徐々に資金調達の方法が銀行を中心とした「間接金融」から株式や社債などを中心とした「直接金融」へと、見直さざるを得なくなってきました。1998年ごろから、企業価値を向上させた後に対象企業の株式売却などで利益を出す「バイアウトファンド」が国内でも相次ぎ設立され始めます。彼らは株主として、企業価値向上のために米国型経営システムを持ち込みました。

 米国型経営システムを端的に言えば「所有と経営の分離」や「経営監視と経営執行の分離」。株主(所有)から委託を受けた取締役(経営監視)が、経営を執行する執行役を監視する仕組みです。

 これまで取締役が経営執行を兼ねていたのを分離した、つまり監督とプレーヤーを分けたのです。そうやって導入されたのがCEO、COO、CFOです。

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