そもそも「ルールメイキング」とは何か
ルールメイキングと一口に言っても、確たる定義があるわけではなく、人や場面によってさまざまな意味合いを持つ言葉です。まずは、そもそもルールメイキングとは何だろうかという前提について、「ルール」と「メイキング」に分けて考えてみたいと思います。
ルールメイキングの対象となる「ルール」は、法律以外にも、以下のように広い範囲にわたります[1] 。
ルールの「メイキング」としては、次のような行為が挙げられます。以下のように、ルールを創るという積極的な関わりだけでなく、消極的な関わりをすることもあります[1]。
- 積極的にルールを創り上げる
- 既存のルールの解釈を明確化する
- ルールの変更が検討されている際に阻止や軌道修正を試みる
欧米や中国で活発化するルールメイキング
欧米では、政治家や官僚に対して、政策や立法に関する働きかけを行う「ロビイスト」が一職業として浸透しています。民間企業はロビイストなどと協力して、特定の利害や信条に基づくロビイング(ロビー活動)を活発に行っています。
報道によると、米国の大手IT企業であるGAFA4社が、2020年に計上したロビイング活動費は、合計5390万ドルにものぼっています[2]。ロビイング活動費を増やす動きは、米国だけには留まりません。中国のByteDanceは、トランプ前大統領が動画投稿アプリ「TikTok」を市場から締め出す政策をとったことも背景にあり、前年の10倍にあたる261万ドルの費用を投じ、ロビイストを17人から47人へと一気に増やすなど、ロビイング活動を強化しています[2]。
すべてのロビイングがルールメイキングを目的とするものではありませんが、欧米ではその重要性が強く認識されているといえるでしょう。
[1]官澤康平、南知果、徐東輝、松田大輝編著『ルールメイキングの戦略と実務』第1章第1節(商事法務、2021年3月刊行)
[2]日本経済新聞電子版「フェイスブック、ロビー費首位に IT大手、米政府圧力に対応 中国バイトダンスは10倍」(2021年1月31日公開)