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Purposeを起点とした新しい経営

「利他主義」を掲げるLIFULLが実践するパーパス経営──社会課題起点で事業が生まれる文化作り

第14回 ゲスト:LIFULL 宮田大介氏

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 いま企業のあいだでは、社会における“存在意義=Purpose(パーパス)”を再定義して、「何のために存在しているのか」、社員一人ひとりは「何のために働くのか」を明確にする動きが活発になっています。これは技術革新や時代の変化によって価値観が変化したことや、企業都合のビジネスではなくサステナブルな経営が求められるようになった社会の変化も影響しています。  そこで、パーパス経営を推進するコンサルティングを提供するIdeal Leaders株式会社のCEO永井恒男氏が、既にパーパスを導入している企業の方をゲストに迎え、そのメリットを解き明かします。今回のゲストは、株式会社LIFULLでコーポレートブランディング戦略を担当している、クリエイティブ戦略室の宮田大介氏。4年前にLIFULLというマスターブランドに統合を図り、その際に策定されたパーパスについて、お話を伺いました。

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「利他主義」を社是とするLIFULLの社会貢献に向けた取り組み

永井恒男氏(以下、敬称略):LIFULLのパーパス策定について伺う前に、まずは宮田さんご自身のこれまでのキャリアと現在について簡単にお聞きしてもよろしいですか。

宮田大介氏(以下、敬称略):私は2009年の中途入社で、今年でLIFULL在籍12年目となります。最初の2年間はLIFULL HOME'Sというサービスの企画や営業戦略を行う部署に所属し、その後、ブランド構築を10年ほど手掛けてきました。

 当時の会社名はネクストで、HOME'S(現LIFULL HOME'S)がいくら伸びてもこれでは主体がわかりにくいということで、2017年に関連会社を株式会社LIFULLに統合するマスターブランド戦略が実施されました。このとき、LIFULLの価値を再定義しています。昨年10月からの中期経営計画では、「LIFULLとは何か」という存在意義と価値の見直しを図り、社会課題の解決を事業の中核に据えようということで意思統一を行ったところです。

永井:なるほど、ありがとうございます。御社のホームページなどを見ていると、そうしたパーパスをトップダウンで浸透させようというのではなくて、社員の皆さんに考えてもらう場作りを大切にされている印象を受けますね。

宮田:弊社はそもそも創業当時から、社是にもある「利他主義」への共感性が強い風土があります。利益や売り上げ偏重型でなく、「公益志本主義」という考え方で、事業を通じて社会貢献活動を実行していき、社会に対して価値を還元していくことが、持続可能な成長と企業価値向上につながると考えています。そのために当時から、トップの考えを共有する「ビジョンシェアリング」を月に1度開催したり、社員全員参加の「コンパ」という、毎回テーマを決めて社員同士で議論する場を年に4回設けたりしています。

 さらに、「1on1」と呼ばれるミーティングを週に1回実施していています。これはメンバーのモチベーション維持やキャリア形成、戦略理解を促進させるために行っています。といっても、仕事の話だけではなく、家庭の悩みや趣味の話などざっくばらんに話す機会になっています。そうした活動がベースにあり、LIFULLという会社が目指すべき方向に向けてより加速して進んでいけるよう様々な取り組みを行っているところです。

永井:ビジョンシェアリングにコンパ、そして1on1。いずれも非常におもしろい取り組みですよね。

宮田:ただ考えを共有したり議論したりするだけでなく、我々としてはそうした課題を自分事化できているのかどうか、そのために行動を起こせているのかどうかを重視しています。そこで半期に1度、社員それぞれの状況をアンケートでのヒアリングも行うようにしています。LIFULLにボトムアップの風土が根付いている背景には、こうした施策も一因にあると思います。

永井:コンパは全社員が参加しているのでしょうか。

宮田:そうですね、全社員です。社会課題を解決しようと漠然と言われても、具体的にどういうことなのか、そもそもそれは儲かるのか、疑問を感じる人も多いと思います。そこをあらためてチームごとに考えて、意思統一を行っています。

 全社員が同じ方向に向いていなければ、良いサービスも生まれないですからね。そのため、ボトムアップで企画を上げる体制や視点は大切にしています。インターネット周りなどそのために必要な知見を当人が持っていなくても、ボトムアップであるがゆえに協力者や賛同者が集まりやすいのはメリットでしょう。

 また、LIFULLには社内新規事業提案制度「SWITCH」という取り組みがあります。SWITCHがスタートしたのは2006年で、当初は学生向けの新規事業コンテスト「Switch」として始まりました。同時期に社内向けの新事業制度を立ち上げ、この2つが現在のSWITCHにつながり、現在までに31回のピッチイベントを開催しています。

永井:SWITCHから実際に事業化されたケースもあるんですか?

宮田:たとえばLIFULL SPACEが手掛けているトランクルームのポータルサイト事業などがそうですね。この事業を起案した若手社員本人の原体験に基づく強い想いや、年平均で約10%という日本のトランクルーム市場の成長が背景にあります。都心の狭いスペースに家族で暮らしているなどの事情から、荷物の保管に困っている人が大勢いるということで、トランクルームを簡単に探せるプラットホーム事業を提案し、事業化に至りました。

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この記事の著者

友清 哲(トモキヨ サトシ)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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