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「大企業による新規事業」のリアル

なぜ大和証券グループは「暗号資産担保ローン」と「投げ銭サービス」を立ち上げることができたのか

第21回 ゲスト:Fintertech株式会社 相原一也氏、大島卓也氏(前編)

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大和証券グループから生まれた「正気じゃない」2つの事業

畠山和也氏(以下、敬称略):これまで既存の金融会社によるフィンテックのサービスが成功した事例はほとんどないため、今回は特に楽しみにしていました。まずはお二人の経歴と取り組まれている事業について教えていただけますか。

相原一也氏(以下、敬称略):大和総研に新卒で入社して、そこで主に金融系のシステム開発をしてきました。2009年くらいから、今でいうフィンテック、当時の言葉でいうと「金融とITを融合した先端技術」を研究する場で働いてきました。

 その流れで2015年にブロックチェーンや仮想通貨に出合い、社内や東証さんと一緒に様々なサービスを立ち上げ実証実験をしてきました。その活動をしているうちに、グループ全体として、横断的なフィンテックの取り組みをしようとなり、2018年にFintertechを立ち上げました。

 事業としては、暗号資産を担保にした「デジタルアセット担保ローン」を担当しています。証券担保ローンとか、不動産担保ローンの暗号資産版と思っていただければわかりやすいと思います。簡単にいうと「ビットコインを担保にお金を貸します」という話なのですが、日本の金融系大手の会社で、こういったサービスは今のところ唯一だと思います。

大島卓也氏(以下、敬称略):私は大和総研ビジネス・イノベーション(現、大和総研)という会社に新卒で入社して、外販サービスのいわゆるSIerと呼ばれる仕事をしていました。営業からシステムコンサル、実際の開発や保守まで幅広く仕事してきたのですが、2018年にFintertechのグループ内公募があったので、そこで手を挙げて今に至ります。

 当時はまだ何も事業が立ち上がっていない状態で、「興味あることを掘っていいよ」という感じでした。そこで私が提案し、サービス化したのが、誰でも投げ銭サイトを作成することができる「KASSAI」です。今はそのサービスの現場責任者として、事業を推進しています。

畠山:暗号資産の担保事業も、投げ銭システムも、相当エッジの立ったサービスですよね。なぜ大手の金融会社の中でも特に堅い印象のある大和証券さんで、このような事業を推進できたのでしょうか。

相原:そう見えますよね。金融業界に触れたことのある方からは「正気じゃない」と言われます。

畠山:私もそう感じます。どのようなプランを提案し、どのように社内を説得してきたのかを伺っていきたいと思います。

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この記事の著者

佐藤 友美(サトウ ユミ)

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