進化させ続けなければ、ビジョンは陳腐化する
佐宗:時代は変化します。そして時には、古いビジョンに基づいた仕組みが弊害を招くこともあります。先生は、ビジョンの見直し、ピボットについてどのようにお考えでしょうか。
石井:すべてのものは、やがて陳腐化し古くなっていきます。未来永劫に続くビジョンはありません。進化し続けないビジョン、ビジョナリーは基本的に生き延びることができないのです。良い例が、ユビキタスコンピューティングです。私の敬愛するマーク・ワイザーが提唱しましたが、すでに実現しているといえる状態(=過去)になりました。タンジブル・ビッツも、研究している間に「ああ、もうだめだ。フィジカルな部分がこんなに硬直していたら、僕の夢であるダイナミックな表現にはならない」と感じ、ラディカル・アトムズという新しいビジョンへと進化したのです。