脳科学を応用した「生存・繁栄モデル」とは
さきほどまではコッター氏の主張を非常にコンパクトに抽出しましたが、これは2015年ごろのものです。そこで注目したいのが、新刊『CHANGE 組織はなぜ変われないのか』(ダイヤモンド社)です。本書は脳科学研究の成果を応用して、変革やイノベーションに活用できる「生存・繁栄モデル」を提唱しています。この20年間ほどで進化した脳科学の知見は、「人間の性質」が変革とイノベーションに与える影響に関するコッター氏らの見解と一致していたといいます。
太古からの歴史を経て人間の性質に組み込まれた「生存本能」は非常に強力であり、身の危険を回避するのに役立つものの、新しい機会を察知するのには足かせになる場合があるとしています。現代のビジネスパーソンにとって、公私ともに社会環境や事業環境の変化が複雑さを増す中で降りかかり脅威は、本来は見過ごさないはずの機会に注目することを難しくするといいます。