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実践UX入門

「UX組織開発リファレンスブック」に見る、優れたUXを実現するための組織づくりのロードマップ

第6回

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 UXを実践していくためには学習が欠かせません。しかし、成功事例を収集したり、セミナーを聞いたりするだけで、なかなか実践に移せないと悩む人も多いのではないでしょうか。学びを実践に活かすには、インプットした情報を整理し、活用できる状態にすることが第一歩です。UXインテリジェンス協会(UXIA)による本連載では、UX事例から学びを無駄なく抽出するフレームワークを紹介しています。UXIAは3つの分科会を設置し、国内外における高品質UX事例の発掘・共有や、UXインテリジェンス(アフターデジタル時代のDXに携わるすべてのビジネスパーソンが持つべき精神と能力)の実践知習得に向けた学習環境の整備などに向け、理事・会員企業で多様な知見を共有しながら議論を深めています。連載最終回となる本稿では、UXを実践するにあたって欠かせない「組織づくり」について取り上げます。

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UX組織の役割と課題

 第1回で解説したように、優れたUXの実現には欠かせない「5つの要素」があり、これまで5つのうち4つ目までを解説してきました。

  1. 時代背景・トレンド理解(第2回
  2. ユーザー理解(第3回
  3. UXづくり(戦略・事業)(第4回
  4. UXグロース・改善(第5回
  5. 組織づくり(今回)

 優れたUXを実現し続けるためには、上記1~4を実行できる「UX組織」をつくらなければなりません。

 マーケットの成熟化や人口減少などの様々な環境変化にともない、売り切り型のビジネスモデルでの継続的な発展は難しくなっています。今後はデジタル技術を活用し、顧客だけでなく提供側である従業員も含めた「状況」や「インサイト」をより深く理解し、心地よい体験を提供することで、いかに長く良い関係性を築けるかといった関係構築型のビジネスモデルが求められています。そこで必要になるのが、UX起点で意思決定される「UX組織」です。

 しかし、UX組織づくりに際しては、課題を抱える企業が多いのも現状です。UXIAの分科会の1つである「UX組織開発分科会」がUXIA会員企業の状況を調査したところ、UX組織開発における課題は、大きく以下の3つに集中していることがわかりました。

  • 経営層を含め、UXの重要性が理解できていない
  • UXを全社推進するための横串組織が機能していない
  • UXを推進する人財が足りておらず、社内教育整備も進んでいない

 UXIAは、これらの解決要素として以下の3つが重要であると考えています。

  • UXの重要性の啓蒙
  • UX組織開発指針の策定
  • UX人財の育成・開発

 上記に向けた具体策の第一歩としてUXIAがまとめたのが、UXIA会員企業に配布している「UX組織開発リファレンスブック」です。このリファレンスブックは、UXを起点とする事業推進および意思決定される組織への変革を目指して作成された資料で、経営層・全社へのUX啓蒙を通した共通言語化を目的としています。

UX組織開発に係る課題とその解決コンテンツ
UX組織開発に係る課題とその解決コンテンツ
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 UX組織開発リファレンスブックは、以下のような内容で構成されています。

1.UX組織開発リファレンスブックの目的

 経営層にUXを経営アジェンダとして認識してもらうこと、また、UX組織づくりの一助となることといった、リファレンスブックの目的をまとめています。

2.UXの定義

 UXIAが定義したUXの定義「企業・サービス・製品と、関わるあらゆる人々との関係を形作る、相互作用のすべて」について解説しています。

3.UXの重要性

 市場の成熟化やデジタル技術の発展などにより、今まで以上にUXが重要な世界へとシフトしていることを示しています。人類史的な観点や、社会環境・生活者環境・企業環境の変化といった観点で、経済的・人口動態的・技術的な側面からUX構築の重要性が増していることを解説しています。

4.UXへの取り組み効果

 UX向上に取り組むことで、顧客接点の創造・シナジー創出・改善が期待されることを示しています。

5.UX組織へと変革するためのロードマップ

 全社に対してUXガバナンスを効かせた状態へと変革するために、4段階からなるロードマップと、それを実行するためのアクションプランを示しています。

 このリファレンスブックにまとめられているような情報によって、UXの重要性を啓蒙し、経営層や全社員との共通言語化を図ることで、UX組織開発に向けた指針策定を推進し、理想のUX組織へ近づくことができるでしょう。

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理想的なUX組織へと変革するためのロードマップ

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この記事の著者

一般社団法人UXインテリジェンス協会(UXインテリジェンス協会)

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