アクセンチュアは、最新調査「アクセンチュア ライフ トレンド2023」の結果を発表。数年にわたって続いた世界的に不安定な状況によって、人々はAI、Web3、トークン化など先進的なテクノロジーを活用して、創造性、コミュニティ、データ・プライバシーを次世代へと進化させていることを明らかにしたという。
アクセンチュア ライフ トレンド2023は、過去15年にわたって生活者の視点から社会やビジネスにおけるトレンドをまとめてきた年次レポート「フィヨルドトレンド」を継承している。ライフ トレンドは、ビジネス、文化、社会を形成する人々の行動を、グローバル規模で5つのトレンドで解説している。
今回のレポートでは、人々が新たなテクノロジーに高い価値を見いだし行動を変化させており、企業や経営陣はその変化に合わせてビジネスモデルを転換する必要があると提言している。
長期にわたる不安定な状態への適応、オンラインコミュニティへの参加、オフィス勤務で無意識のうちに受けていた恩恵の喪失、AIなどの先端テクノロジーを使った創造性の発揮など、日常の体験は一変した。同レポートでは、こうした変化がまったく新しい事業環境を生み出していると解説。
アクセンチュア ソングのソートリーダーシップ、メタバース、サステナビリティ担当グローバルリードであるマーク・カーティス(Mark Curtis)氏は、次のように述べている。
「未曾有の危機に直面すると、多くの人は自らの生活を自分自身でコントロールすることの難しさを感じます。しかし、こうした状況に適応し、冷静になるにつれ、人々はより大きなコントロールを求めて決断するようになり、ブランドや企業にも影響を与えます。こうした新たなパワーダイナミクスによって、企業が顧客と関わり、関係を構築する方法は刷新され、企業に大きなチャンスをもたらすでしょう」
アクセンチュア ライフ トレンド2023は、アクセンチュア ソングに所属するデザイナー、クリエイター、技術者、社会学者、人類学者が洞察や知見を持ち寄って作成されたという。AIが生成した画像と共に、2023年に企業が留意すべきトレンドや取るべきアクションを紹介している(以下、プレスリリースより抜粋)。
不安定な社会環境に適応する生活者たち
世界は間断なく災害や惨事に見舞われています。しかし、何千年も前から人類がそうしてきたように、人々は4つの反応(闘争、逃避、集中、凍結)を切り替えることで、不安定な状況に適応しています。こうした反応は、人々が購買するモノやサービス、ブランドや企業に対する印象にも影響を与えるため、企業はこれらの変化に備えなければなりません。
コミュニティの力から生まれるブランドの未来
不安定な世の中で、人々は自らの居場所をより積極的に求めます。このため、現代のブランドは「コミュニティ・ファースト」で構築されるようになり、ブランドに対するロイヤリティや関わり方が再構築されるでしょう。例えば、アクセンチュアによるインタビュー調査対象者の大半は、過去6~9ヵ月の間に新しい趣味を試したり、新しいコミュニティに参加したりしています。こうした傾向を特徴づける下記3点は、いずれも先進テクノロジーを活用しています。
- コミュニティ:Reddit、Discord、Twitchなどのプラットフォームを活用
- トークン・ゲート:「トークン・ホルダー」のみに許されたアクセス
- コレクターズアイテム:デジタルアート、サイン、トレーディングカードなど
かつての姿ではないワークスタイルのあり方
オフィス回帰の議論が続いていますが、多くの人にとって成功と呼べる状況ではありません。同僚との業務に直接関係のない会話や、後輩を間近でサポートすることなど、オフィスで働くことの目に見えない恩恵が失われたと誰もが感じているでしょう。そして今、この喪失感がもたらしたものが明らかになりつつあります。直接会うことができなければ、企業は社員へのメンタリング、変革、文化、多様性の受容などを失うことになりかねません。今こそ経営層は新しい発想を持ち、論理的で相互に有益な計画を立てるべきです。
AIと共に歩むクリエイティビティ
AIが身近になり、創作活動の新しいツールになりつつあります。ニューラルネットワークが急速に普及し、努力やスキルが十分になくとも、言語や画像、音楽を生み出すことが可能になりました。また、AI自体も驚異的スピードで進化しています。普及が進めば、創作力はさらに進化するでしょう。企業は、AIが生成したコンテンツが溢れる中でどのように差別化するか、また革新のスピードと独自性を高めるためにAIをどう活用するかについて検討する必要があります。
デジタルウォレットと私のデータの行方
個人情報の扱いは、ようやく変革の時を迎えています。 オンラインでのブランド体験の透明性と信頼性は急速に低下していますが、間もなく人々は、個人情報を自身でコントロールできるようになるかもしれません。トークン(支払い方法、ID、ポイントカードなどを表す)を含むデジタルウォレットによって、人々はどの個人情報を企業へ共有するか、また販売するかを判断できるようになるのです。これは、ブランドにとって大きな利点となるでしょう。人々から提供されるデータは、クッキーの規制により収集されなくなった第三者データよりも、より価値を持つためです。
アクセンチュア ソングのCEO兼クリエイティブ・チェアマンであるデビッド・ドロガ(David Droga)氏は、次のように述べている。
「コントロールの変化は、パワーの変化につながります。つまり、人々がコントロールを強めると、人と企業の間の力学が変わるのです。一見、些細な行動変容に見えますが重大な意味を持っています。 経営層、労働者、顧客、消費者、クリエイターは、それぞれの視点でコントロールを取り戻す方法を模索しています。やがて、意識の変化とテクノロジーの成熟に伴い、これまでとは異なる新しい進歩が見られるでしょう」