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組織戦略としてのデータとCX

三井住友海上CMOが語るデータ分析起点の「両利きの経営」、新規組織能力の浸透に必要な「影響力の武器」

【前編】三井住友海上火災保険株式会社 CMO CXデザイン部長 木田浩理氏

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 三井住友海上火災保険にて、データ分析組織の立ち上げからマーケティング組織の組成までを担ってきた、CMO(チーフ・マーケティング・オフィサー)の木田浩理氏へのインタビュー。記事前編では、データ分析組織の立ち上げ以降に、その価値を社内に浸透させるために取り組んだこと、その延長上にあるマーケティング組織の立ち上げまでの経緯について語っていただいた。

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データ分析組織起点の「両利きの経営」の実現。まずはマインドの醸成から

──まずは木田さんが入社してからデータ分析組織を立ち上げるまでの経緯をお聞きしたいです。

 私は2018年5月に、データサイエンティストがまだ1人もいなかった弊社内に、データ分析組織を立ち上げるために入社しました。入社当時の私は、マーケティングが得意なデータサイエンティストという位置づけであったと思います。それまでは、いくつかの会社で営業やマーケティング、データ分析、新規事業の責任者などを務めており、分析チームをゼロから立ち上げることに魅力を感じていました。損害保険という昔からある業態の、しかも大手企業で、マーケティングとデータ分析機能を組織に導入してみることを楽しみにしていました。

──大企業の中で短期間にデータ分析組織、そしてマーケティング組織を立ち上げられたと思うのですが、こうした動きの中で「両利きの経営」を意識されていたと聞いています。

 『両利きの経営[1]』にインスパイアされたのは間違いありません。弊社は、同じ事業に長いこと取り組んできたため、ある意味では既存事業の深化が得意な組織ではあります。逆に、新しいものを取り入れる探索活動は必ずしも得意とはいえなかったため、私の中に「新しい組織能力を獲得すべき」だという発想は間違いなくありました。

 両利きの経営における探索活動の中でも、新たな組織を構築する際に必要な活動がいくつかあると思います。私自身は、「組織内にマインドを釀成する」「人材を採用・育成する」という活動が特に重要だと考えています。そのうち、まずはマインドの部分に取り組みました。マインドの醸成とは、データ分析組織の価値を会社全体に浸透させることです。

 当然、両利きの経営の探索活動には「両利きの人材」が必要です。新たな組織能力を獲得することの重要性がわかっている上で、それを担う人をどう採用するのかを考えなければなりません。

 ただ、どのような企業においても、新たな専門人材を大量に雇いこむことは容易ではありません。そのため、少数の専門人材が既存組織に向けて価値を示し、今いる人たちを徐々に育成してスキルを習得させ、人材の確保につなげていく必要があります。これは弊社でも同じ課題でした。


[1]チャールズ・A・オライリー、マイケル・L・タッシュマン『両利きの経営(増補改訂版)ー「二兎を追う」戦略が未来を切り拓く』(東洋経済新報社、2022年)

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この記事の著者

雨宮 進(アメミヤ ススム)

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