2026年4月24日、味の素フィナンシャル・ソリューションズとファーストアカウンティングは、両社が共同開発した経理AIエージェントの本番稼働を開始したと発表した。これはAFSが味の素グループの国内財務経理業務を集約する中で抱えていた、経理承認業務の属人化や工数増大、ノウハウ継承の課題に対処する取り組みである。
本プロジェクトで導入された経理AIエージェントは、従来人手に頼っていた経費精算業務のログイン・内容確認・承認・差し戻しまでの工程を自動化する。AIは会計・税務の専門知識を備え、AFSが受託する複数社分の経理承認業務ルールやナレッジを実装している。これにより、AIは業務ルールや起票内容、証憑(領収書・請求書画像)を総合的に判断し、品質を維持しながらも大幅な業務効率化が実現した。
本エージェントは、特定の画面項目や条件に依存しない汎用性も備えている。また、月1万件規模の証憑処理を行う現場で、年間約1万時間の工数削減が見込まれる。2026年4月時点では、まずAFS社内の経費精算業務で本番稼働し、今後は他の受託会社にも適用を広げていく予定である。加えて、将来的には請求書処理や前払費用判定、源泉徴収税対応など、さらに多様な経理判断業務へのAI活用を目指す。
ファーストアカウンティング独自の経理特化AIは、大規模言語モデル(LLM)単体では困難とされる「ハルシネーション(事実と異なる内容の出力)」問題に対し、業務の受入条件や手順、チェックポイントまでを設計したAIエージェントを構築。検証の結果、「領収書必須項目の確認」「インボイス制度準拠チェック」「税務上交際費判定」の3項目で正答率93.3%を記録し、LLM単体の53.3%を大きく上回った。この成果から、業務知識とルールベースを組み合わせたAIが高精度かつ実用性の高い判断を実現することが示された。
本プロジェクトは単なる業務効率化に留まらず、属人化しがちな会計・税務判断を再現性のある仕組みへと転換し、「AI前提」の業務フローへ進化させるものである。両社はこの知見を基に、多様な経理業務や他業種への展開も検討している。
経営企画や経理部門にとって、今後の業務設計や人材育成、グループガバナンス強化への活用が期待される。
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