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再現性のあるイノベーション経営の型

東工大 大嶋副学長と語る、大学城下町構想とは──大学をハブとしたイノベーション・エコシステムの進化

【第4回】ゲスト:東京工業大学 副学長 兼 オープンイノベーション機構 副機構長 教授 大嶋洋一氏

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 本連載は、Japan Innovation Network(JIN)の理事・アドバイザーをナビゲーターに、大企業において「再現性のあるイノベーション」を実現するため、経営・組織・カルチャー変革に携わるキーパーソンをゲストに迎え、その取り組みや考え方に迫る。今回はJIN理事でi.school エグゼクティブ・ディレクター、日本社会イノベーションセンター(JSIC)代表理事の堀井秀之氏と、東京工業大学 副学長(産学官連携担当)でオープンイノベーション機構 教授の大嶋洋一氏が、イノベーション創出における産学連携の価値や、いま取り組んでいるエコシステムづくりの可能性について語った。

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i.school での学びは、PDCAの“Cの徹底”でマインドセットを変えたこと

大嶋洋一氏(以下、敬称略):堀井先生が運営されているi.schoolは、どういう背景で始まったのでしょうか。

堀井秀之氏(以下、敬称略):i.schoolは私が東京大学にいた2009年に知の構造化センターの事業の一つとして始めたイノベーション教育のプログラムです。2017年に大学から独立し、一般社団法人日本社会イノベーションセンター(JSIC)で運営しています。

 i.schoolは単位も学位も出さないのですが、色々な学部から様々な分野の学生が集まってきます。アイデアの創出方法から事業化の方法まで、年に8〜9回のワークショップを開いて教育するということを続けてきました。

大嶋:どのような成果が生まれましたか。

堀井:15年間やってきて、一番大きな気付きがありました。それは、新しいことに前向きにチャレンジするマインドセットを築くには、自分で独自のアイデアを創出し、それが人からの称賛を浴びるという経験をすることが非常に有効だということです。ですので、一番の成果はマインドセットを変える、ということにあると感じています。

大嶋:日本では失敗がネガティブに評価されがちで、それが前向きになることを難しくさせているように思います。i.schoolではどんな工夫や仕組みで前向きなマインドに変化させていくのでしょうか。

堀井:我々のプログラムの中で「総括的評価」と呼んでいるのですが、PDCAサイクルを回す中でC(Check)の部分を徹底的に、かつ決まったやり方でやるんです。

 1回目にやったときの何がまずかったのか、2回目はどのようにやり直すのか、みんなで意見を出し合って次の試行をする。このサイクルを何回か繰り返すと、失敗は次に成功するためのヒントを与えてくれるものだと分かり、失敗するのが怖くなくなるんです。

大嶋:なるほど。プログラムの中でその経験ができるようになっているんですね。

堀井:そうですね。「試行錯誤を最適化する」と言っていますが、むやみやたらに繰り返すのではなく、できるだけ効率的に繰り返すということが、何度かPDCAを経験するうちに分かってきます。

教育におけるi.schoolと大学の補完関係

大嶋:修了生は、どういう進路を選ぶのですか。

堀井:i.schoolでは必ずしも起業を勧めているわけではなく、それぞれの分野で活躍してほしいと考えています。修了生を見ていると、まずは社会経験を積むために結構有名な企業に就職し、5年くらいすると退社して自分のやりたいことを始める、という人が多いですね。

大嶋:卒業したら終わりではなく、その後もチャンスが来たら動けるようなネットワーク作りのハブとして、i.schoolが機能しているのかもしれないですね。

 i.schoolは今、大学から独立して運営されているということですが、大学との連携はありますか。

堀井:はい。大学組織との連携というよりは個々の先生方とコラボレーションさせていただいています。

 i.school生は理系から文系まで様々な分野から来ています。それぞれが大学で専門性を高めることは非常に大事なのですが、不足しているのは個々の大学の壁を超えて横断的に学べる場を提供することだと考えています。そういう意味で、大学とi.schoolは良い連携ができているのではないでしょうか。

大嶋:重要なポイントですね。大学は何でも自前でやろうとしがちですが、大学として果たすべき役割と外に期待する役割とを区別した上で連携した方が良いと思います。

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やつづかえり(ヤツヅカエリ)

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